ディスカバー・ニッケイ

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川井 龍介

(かわい・りゅうすけ)

@ryusukekawai

ジャーナリスト、ノンフィクションライター。神奈川県出身。慶応大学法学部卒、毎日新聞記者を経て独立。著書に「大和コロニー フロリダに『日本』を残した男たち」(旬報社)などがある。日系アメリカ文学の金字塔「ノーノー・ボーイ」(同)を翻訳。「大和コロニー」の英語版「Yamato Colony」は、「the 2021 Harry T. and Harriette V. Moore Award for the best book on ethnic groups or social issues from the Florida Historical Society.」を受賞。

(2021年11月 更新)


この執筆者によるストーリー

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一世の記録を拾い集めた男 ~加藤新一の足跡をたどって~
第9回 確かに全米を回っていた

2021年3月12日 • 川井 龍介

フロリダで車を売ろうとしたが  加藤新一の親族を探していた私は、2020年3月広島市東区戸坂千足というところで、運よく彼の甥にあたる吉田順治さんに巡り合うことができた。建設業を営んでいた吉田さんは、加藤の妹、春江さんの長男にあたり、加藤のことを「おじさん」と呼び、親しい関係にあったことがわかった。 偶然の訪問にもかかわらず、時間があるということで話を聞かせてもらえることになった吉田さんに、私はフロリダの日本人移民秘話をノンフィクションにまとめたことや、日系アメリカ人文学…

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一世の記録を拾い集めた男 ~加藤新一の足跡をたどって~
第8回 広島の親族は?

2021年2月26日 • 川井 龍介

かつての住所を訪ねると  「米國日系人百年史」のなかの自己紹介ともいえるプロフィール記事と、1982年2月10日の中国新聞社の訃報(死亡記事)などから、加藤新一の人生が要約できたところで、広島出身で最後は故郷で一生を終えた彼の血縁者や、彼を知る人を改めて探すことにした。 加藤の、アメリカ生まれのひとり息子は 、日本で高校を卒業した後アメリカに戻ったので、直系の親族は日本には見当たりそうになかった。そこでまずは加藤が暮らしていたと思われる、訃報にある住所を訪ねることにした…

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一世の記録を拾い集めた男 ~加藤新一の足跡をたどって~
第7回 81歳で故郷広島に永眠

2021年2月12日 • 川井 龍介

中国新聞の連載記事「原爆と中国新聞」(2012年3月〜5月)によれば、広島に原爆が落とされた当時、加藤新一は中国新聞記者の報道部長で、被爆当日市内を歩き回り、一ヵ月後には広島入りしたアメリカの調査団に同行した赤十字駐日首席代表のマルセル・ジュノー博士の通訳兼案内係として廃墟の被爆地を回ったことが分かった。 彼はそこで何を見て、どう思ったのか。またそれが、後の彼の人生に何か影響を及ぼしたのだろうか。さらに詳しく知りたいと思った私は、連載記事に署名のあった編集委員の西本雅実氏…

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一世の記録を拾い集めた男 ~加藤新一の足跡をたどって~
第6回 原爆投下時に記者として

2021年1月22日 • 川井 龍介

ある人物について、詳しく知ろうとするならまず親族にあたるのが常道だろう。加藤新一については、彼が執筆・編集した「米國日系人百年史」のなかの自身のプロフィールのなかに、妻と子についての記載がある。妻はすでに他界されているだろうから、「一子」として紹介されている「ケネス直」についてあたってみることにした。 生まれは、日本かアメリカかわからないが、ケネスというのが英語名で直が日本語名だと思われるケネスは、広島の名門私立である修道学園高校を卒業している。この学校は、1725(享保…

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一世の記録を拾い集めた男 ~加藤新一の足跡をたどって~
第5回 日米を股にかけて活動

2021年1月8日 • 川井 龍介

1900年から1961年まで    1961年に出版の「米國日系人百年史〜発展人士録」をもとに翌62年日本で出版された「アメリカ移民百年史」で、著者として加藤新一は「はしがき」のなかで、自分自身について、1916年中学に入ったばかりで、父親に父に呼び寄せられ、アメリカ本土にわたったと書いている。 (日米)開戦当時は、ロサンゼルスの米国産業日報編集長の職にあり、すぐに抑留されたが1942年の夏に、第一次交換船で日本に帰国。これは自身の希望でもあったという。そして日本では「…

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一世の記録を拾い集めた男 ~加藤新一の足跡をたどって~
第4回 一世への敬意と日本人としての誇り 

2020年12月25日 • 川井 龍介

「加藤新一」で検索してみると アメリカ本土への日系移民の足跡を取材し、「米國日系人百年史」にまとめた加藤新一が、全米を単独で車で走り回ったことはわかったが、詳しい旅の内容はこの本のあとがきではわからなかった。彼がほかに書いたものはないだろうか。そう考えてまずあたったのが、インターネットだ。 加藤新一という名前と「百年史」など関連する言葉をもとに、検索してみると、彼には「アメリカ移民百年史」という上中下3冊にわたる著作が別にあることがわかった。「百年史」出版の翌年の1…

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一世の記録を拾い集めた男 ~加藤新一の足跡をたどって~
第3回 全米を走破し1世を訪ねる

2020年12月11日 • 川井 龍介

加藤新一が「編者」となっている「米國日系人百年史」(1961年12月刊行)は、アラスカ、ハワイを除く米国本土の日系人の足跡を追ってまとめている。太平洋岸など日本人が多く移住し活動してきた州は、州ごとに多くのページを割き、カリフォルニア州だけは北部、中部、南部に分けて紹介している。 その他は「中央北部三州」や「中部大西洋岸諸州」、「南部沿岸諸州」のように地理的なまとまりでひとくくりとし、その中で州や地域に分けて紹介している。細かくみると、「ケンタッキー州」と「テネシー州」に…

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一世の記録を拾い集めた男 ~加藤新一の足跡をたどって~
第2回「百年史」はだれが書いたか

2020年11月27日 • 川井 龍介

いまや世界中いたるとことろで日本人が暮らしていることを私たちは知っている。それでもテレビ番組などで、こうした移民や移住者のことを見聞きするにつけ「どうしてこんなところに日本人が」、「なぜこの人はそこにいるのだろう」という素朴な疑問と驚きを覚えることがある。 私の場合、かつてアメリカのフロリダにあった日本人のコロニー(村)と、そこに集まった人たちについて知ったときが、そうした最初の例だった。1990年代のことである。カリフォルニアなど太平洋岸には日本人が移民し、多くの日系人…

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一世の記録を拾い集めた男 ~加藤新一の足跡をたどって~
第1回 人の一生を追うということ

2020年11月13日 • 川井 龍介

1960年、全米を自動車で駆けめぐり日本人移民一世の足跡を訪ねた男がいる。翌年末、その記録を『米國日系人百年史〜発展人士録』(新日米新聞社)にまとめた加藤新一(当時61歳)である。広島出身の彼はカリフォルニアへ渡り、太平洋戦争前後は日米で記者となった。自身は原爆の難を逃れながらも弟と妹を失い、晩年は平和運動に邁進した。日米をまたにかけたその精力的な人生行路を追ってみる。 * * * * * 人の人生を追うむずかしさ ノンフィクションを書くために、ひとりの人間の一生をた…

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孤独な望郷 ~ フロリダ日系移民森上助次の手紙から
番外編: 森上助次を撮影したカメラマン・諏訪徹 — 庭園の仕事から国際的なフォトジャーナリストに — その2

2020年10月30日 • 川井 龍介

その1を読む >> 時間をかけて親しくなる 諏訪さんは助次の人柄について「ものすごいいい人だし、親切だ」という印象を抱いた。が、その格好には内心呆れた。薄汚れたシャツと半ズボンで薄くなったぼさぼさの髪に、細い針金のようにもじゃもじゃの顎髭を伸ばしている。四部屋ある細長いトレーラーハウスのなかは、とにかく汚れていた。 その後も何度か、休みのたびにカメラは持たずにただ助次のもとを訪ねては、パイナップル栽培のことなどをきいてみた。トレーラーハウスには扇風機があったがエアコン…

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