堀江謙一や小田実に感化され
海洋冒険家の堀江謙一さん(84)が、このほど米クルージング・クラブ・オブ・アメリカ(CCA)から海洋冒険の功績を讃えられ、最高栄誉賞である「ブルーウォーターメダル」を受賞した。堀江さんは、昨年ヨットの単独無寄港での太平洋横断に世界最高齢で成功したほかこれまで多くの海洋冒険に挑戦してきた。
なにより堀江さんが世の中の注目を集めたのは、1962年に兵庫県の西宮港からサンフランシスコまでひとりで航海するという偉業を達成したからだった。その航海を著した『太平洋独りぼっち』は話題を呼び、当時の日本の若者の冒険心をかきたてた。そんな多くの若者のひとりに、のちにアメリカでフォトジャーナリストとして活躍する諏訪徹(すわ・あきら=Akira Suwa)さんがいた。
アメリカで暮らす諏訪さんが、昨年フォトジャーナリストとしての半生を振り返った『生きた見た撮った、アメリカを世界を — アキラ・スワ回想録』を出版した。半生の記録は英語でまとめられていたが、日本での小学校時代の同級生である新田聡子さんが日本語に訳した。
私は、拙著『大和コロニー フロリダに「日本」を残した男たち』(旬報社、2015年)を、まとめる過程で諏訪さんのことを知った。この「男たち」の中心人物で、日本からの移民である森上助次(ジョージ・モリカミ)について、1970年代に貴重な写真を…