第9回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト

毎年行われているリトル東京歴史協会主催の「イマジン・リトル東京」ショートストーリー・コンテストは、今年で第8回を迎えました。ロサンゼルスのリトル東京への認識を高めるため、新人およびベテラン作家を問わず、リトル東京やそこにいる人々を舞台とした物語を募集しました。このコンテストは成年、青少年、日本語の3部門で構成され、書き手は過去、現在、未来の設定で架空の物語を紡ぎます。2022年5月26日に行われたバーチャル授賞式では、デレク・ミオを司会とし、俳優の安生めぐみ、ケイコ・アゲナ、ヘレン・オオタが、各部門における最優秀賞を受賞した作品を朗読しました。

受賞作品

  • 日本語部門 — 最優秀作品: 「教えて」 六几なお
    • 佳作:「回春」 國分 美幸  

  • 成年部門 — 最優秀作品:  “Tori” シェイヨ・ウァン  [英語のみ]
  • 青少年部門 — 最優秀作品: “Time Capsule” ヘイリー・ホア  [英語のみ]

 
* その他のイマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテストもご覧ください:

第1回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト (英語のみ)>>
第2回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト >>
第3回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト >>
第4回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト >>
第5回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト >>
第6回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト >>
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第10回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト >>

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回春

―10年前―

これは、ぼくだけのひみつ。いや、ぼくときみだけのひみつなんだ。

すぷりんぐすとりーとには、かべがある。みぎとひだりでわかれて、みんなくらしている。ぼくはみぎがわ。にほんじんと『にっけい』ってよばれているひとたちがすんでいるんだ。ひだりは、ぼくたちとはちがうひとたちがすんでいる。いったことはない。おとうさんやおかあさん、まちのひとからきいたはなしだ。ただ、とてもこわくてきたないところだから、いってはだめだといわれた。

ぼくはこのかべがすきだ。だって、おもしろいえやもじが、たくさんかいている。まだ5さいだから、ひらがながすこしよめて、20までかぞえることができるけど、かべはかんじやしらないきごうばかりだか…

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教えて

私は美しい。

パパから「ノアがこの世で一番可愛いよ」と言われて育ったから、何の迷いもなく自身が美しいのだと、物心ついた頃から知っていた。

カフェテリアで配膳される量が人よりも多かったり、話したこともない人間から告白されたり、連絡先を渡されたり。

赤の他人から与えられる好意の積み重ねがパパの言葉を裏付け、いつしか私の自信となった。

「ねぇ、パパは自分がかっこいいと気付いたのはいつ?」

右手に持ったマグカップから、淹れたてのコーヒーが湯気を立てている。シカゴで開催される学会に参加する為、早朝に家を出たママを見送り一息ついていたのだろう。

もしママが今この場に居たとしたらこんな質問はしなかった。

男女差別の激しい…

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