第9回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト
毎年行われているリトル東京歴史協会主催の「イマジン・リトル東京」ショートストーリー・コンテストは、今年で第8回を迎えました。ロサンゼルスのリトル東京への認識を高めるため、新人およびベテラン作家を問わず、リトル東京やそこにいる人々を舞台とした物語を募集しました。このコンテストは成年、青少年、日本語の3部門で構成され、書き手は過去、現在、未来の設定で架空の物語を紡ぎます。2022年5月26日に行われたバーチャル授賞式では、デレク・ミオを司会とし、俳優の安生めぐみ、ケイコ・アゲナ、ヘレン・オオタが、各部門における最優秀賞を受賞した作品を朗読しました。
受賞作品
- 日本語部門 — 最優秀作品: 「教えて」 六几なお
- 佳作:「回春」 國分 美幸
- 成年部門 — 最優秀作品: “Tori” シェイヨ・ウァン [英語のみ]
- 佳作: “J is for Junichiro” ジョージ・クックシー [英語のみ]
- 青少年部門 — 最優秀作品: “Time Capsule” ヘイリー・ホア [英語のみ]
- 佳作: “Through The Opera Glasses” マデリン・タチ [英語のみ]
* その他のイマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテストもご覧ください:
第1回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト (英語のみ)>>
第2回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト >>
第3回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト >>
第4回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト >>
第5回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト >>
第6回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト >>
第7回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト >>
第8回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト >>
第10回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト >>
第11回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト >>
このシリーズのストーリー
オペラグラスを通して
2022年6月24日 • マデリン・サッチ
カリフォルニアの太陽が明るく照りつける中、エリンはリトルトーキョーの通りをぶらぶら歩いていた。心配事で頭がいっぱいで、周りの景色に気付かなかった。ああ!と彼女は思い、ネガティブな考えを頭から追い出そうとした。今日は休みなので、楽しみます!おばあちゃんのことは心配せずに、ただリラックスすればいいんです。ちょうどそのとき、エリンは 2 つの近代的な建物の間にある小さくてみすぼらしい店に気づきました。ドアの上の色あせた看板にはいくつかの日本語の記号が書かれており、その下に小さな文…
回春
2022年6月17日 • 國分 美幸
―10年前― これは、ぼくだけのひみつ。いや、ぼくときみだけのひみつなんだ。 すぷりんぐすとりーとには、かべがある。みぎとひだりでわかれて、みんなくらしている。ぼくはみぎがわ。にほんじんと『にっけい』ってよばれているひとたちがすんでいるんだ。ひだりは、ぼくたちとはちがうひとたちがすんでいる。いったことはない。おとうさんやおかあさん、まちのひとからきいたはなしだ。ただ、とてもこわくてきたないところだから、いってはだめだといわれた。 ぼくはこのかべがすきだ。だって、おもし…
Jは純一郎のJ
2022年6月10日 • ジョージ・クックシー
「ジュニ、また喧嘩したね。」中島順一郎は、氷で冷やすまで手を隠しておこうと思ったが、いつものように母親が察知しすぎた。母親が薬箱を取り出す間、順一郎はコタツの横の床に座っていた。母親の消毒液が指の関節の開いた傷に刺さったが、いつもの母親の独り言の方がもっと刺さった。 「他の男の子と喧嘩するなと何度言ったらいいんだ?今月で二度目だ!お前のためにこの生活を送るために、俺たちが何を犠牲にしてきたか知らないのか!」彼女の叱責は15分間続き、彼の日本語能力を維持するのに役立った。ジュ…
教えて
2022年6月3日 • 六几 なお
私は美しい。 パパから「ノアがこの世で一番可愛いよ」と言われて育ったから、何の迷いもなく自身が美しいのだと、物心ついた頃から知っていた。 カフェテリアで配膳される量が人よりも多かったり、話したこともない人間から告白されたり、連絡先を渡されたり。 赤の他人から与えられる好意の積み重ねがパパの言葉を裏付け、いつしか私の自信となった。 「ねぇ、パパは自分がかっこいいと気付いたのはいつ?」 右手に持ったマグカップから、淹れたてのコーヒーが湯気を立てている。シカゴで開催され…
トリ
2022年5月27日 • シェイヨ・ウェン
前回ここに来たときは桜が咲いていました。私はリトルトーキョーに祖母を訪ねて来ました。祖母は高齢でしたが、カトリック教会の空き部屋でバティックの工房を営んでいました。毎週火曜日の午後、祖母は染料と絹織物を並べ、藍染めとバティックを一緒にやりたいという人を誰でも招待していました。祖母の手は、熱い蝋の入ったボウルを扱っているときでさえ、決して震えませんでした。特に熱い蝋の入ったボウルを扱っているときは。私は、祖母が数え切れないほど熱いタオルを絞り、ついには自分で水筒を開けられなく…
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