第7回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト

毎年行われているリトル東京歴史協会主催の「イマジン・リトル東京」ショートストーリー・コンテストでは、ロサンゼルスのリトル東京への認識を高めるため、新人およびベテラン作家を問わず、リトル東京やそこにいる人々を舞台とした物語を募集しています。このコンテストは成年、青少年、日本語の3部門で構成され、書き手は過去、現在、未来の設定で架空の物語を紡ぎます。各部門で最優秀賞を受賞した作品は、いずれもリトル東京の魂と文化の本質を捉えています。今年7月23日に第7回「イマジン・リトル東京」バーチャル授賞式を開催、俳優のタムリン・トミタ、デレク・ミオ、尾崎英二郎氏が各部門の最優秀賞作品を朗読しました。

 

受賞作品

  • 日本語部門 — 最優秀賞: 「戦場の漫画家」  新井 淳蔵
  • 成年部門 — 最優秀賞: “She's Still Here”  ジェームス・フジタ [英語のみ]
    • 奨励賞: “Half an Anman”  ムスリマ・グリャモワ  [英語のみ]
  • 青少年部門 — 最優秀賞: “Finding Shinyū”  オナッサ・サン [英語のみ]


* その他のイマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテストもご覧ください:

第1回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト (英語のみ)>>
第2回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト >>
第3回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト >>
第4回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト >>
第5回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト >>
第6回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト >>
第8回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト >>
第9回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト >>
第10回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト >>

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戦場の漫画家

1969年8月中旬イーストロサンゼルスのボイルハイツ。日系1世、トクジ・ヨシダは自宅の食卓でたばこをふかしながら今日の羅府新報に目を通していた。「第28回二世週日本祭グランドパレードは明日」と出ている。トクジは短くなったたばこを灰皿に押しあてると、リビングにいる妻に向かって言った。

「おい、そろそろ行くぞ」

二人は60代後半ばの老夫婦。ヒサエは盆棚にお茶を添えた。

「ちょっと待って」

ほかにきゅうりの馬とナスの牛、中央には位牌と、若者の写真が立てられている。ヒサエはつぶやいた。

「もう25年も経つのね」

戦死した一人息子だ。決してハンサムとは言えないが、丸顔で親しみやすい笑顔が特徴の子だった。

ケント・ヨシ…

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