南米の日系人、日本のラティーノ日系人
日本在住日系アルゼンチン人のアルベルト松本氏によるコラム。日本に住む日系人の教育問題、労働状況、習慣、日本語問題。アイテンディティなど、様々な議題について分析、議論。
このシリーズのストーリー
ペルー日系人協会100周年記念と第19回COPANIリマ
2018年5月4日 • アルベルト・松本
2017年11月2日から5日にかけ、南米ペルーのリマで第19回「パンアメリカン日系人大会 (COPANI - Convención Panamericana Nikkei)」が開催され1、同時にペルー日系人協会(APJ – Asociación Peruano Japonesa)の100周年記念式典が行われた2。 今回のCOPANIでは、「未来を構築して」をテーマに様々なプログラムが組まれていた。エコノミストのルイス馬場中尾氏による…
日本の日系ラティーノは老後の準備をしているのか?
2018年4月2日 • アルベルト・松本
日本への「デカセギ現象」が始まってからすでに30年は経っており、今では多くの南米日系人が日本に定住している。高齢者の割合も徐々に増えており、日本永住を決意した世帯が本国から年老いた親を呼び寄せるケースも増えているという。日本の日系ラティーノは、「老後の準備」はできているだろうか。 南米の日系社会には、有力者の寄付や多くのボランティア、日本からの支援を活用した独自の高齢者サポートや福祉サービスが存在する。国によってその形態は異なっているが、それぞれのコミュニティが工夫を重ね…
世界各地の「日系人」ー幕末から今日まで ― その2
2017年12月28日 • アルベルト・松本
その1を読む >> 明治から本格的に開始された海外移住は、当初予定していたほど成果を上げることができなかったという見方もある。戦前何十万人もの日本人が南北アメリカ移住したが、その数は日本の総人口の1%にも満たないし、欧州からアメリカ大陸に渡った人の方がはるかに多い。国家の海外植民地政策と相まった部分もあったが、不利な通商条件にもかかわらず、明治日本の産業改革をはじめ、国内市場はそれなりに発展し、生活の質も向上した。蚕産業でかなり潤った農業地域もあり、製造業や商業も成長し、…
世界各地の「日系人」ー幕末から今日まで ― その1
2017年12月27日 • アルベルト・松本
現在、海外には350万人ぐらいの日系人がいるという1。「日系人」をどのように定義するかにもよるが、ここでは海外に居住している日本人およびその子孫と定める。三世や四世の中には自分たちを「日系人」と意識していない人もいるが、そうした日系人も、外務省の海外在留邦人数調査統計に含まれており、その数は海外邦人133万人(長期滞在者87万人、永住者46万人)である2。 明治維新前の日本というと「鎖国」のイメージが強い。しかし鎖国中も長崎の出島を通じて限定的ではあるが情報や物資が国…
ボリビアのサンタクルスにある日本人移住地の新たな挑戦
2017年9月29日 • アルベルト・松本
今年(2017年)の5月に、JICA日系社会ボランティアの在外研修の講師としてボリビアのサンタクルスに出張した。この研修は、日本から中南米諸国に派遣されている「日系社会青年・シニアボランティア」を対象にしたものである。研修の一環として、サンタクルス市から138キロ、車で2時間半の距離にあるサンファン移住地と、そこから100キロ南東部にあるオキナワ移住地を訪問し、移住地にある施設の一部を見学させてもらい、各グループに分かれて関係者と懇談する機会を持った。 私のサンタクル…
JICAの日系社会ボランティアの奮闘と役割〜ボリビアでの在外研修に参加して
2017年9月1日 • アルベルト・松本
日本国は、ODA(政府開発援助)の一環として途上国や新興国等に多くの協力隊員やボランティアを派遣している。もっともよく知られているのが、JICA(国際協力機構)が派遣している「青年海外協力隊」である。バラエティー番組でも、途上国のことになると現役か元協力隊員の活動がよく紹介される。中南米の日系社会にもJICA独自の支援プログラムがあり、青年とシニアのボランティア制度が存在する1。基本的に2年間の任期で、ボランティアといっても、きちんとした派遣前訓練や諸手当も支給され、任国で…
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