南米の日系人、日本のラティーノ日系人

日本在住日系アルゼンチン人のアルベルト松本氏によるコラム。日本に住む日系人の教育問題、労働状況、習慣、日本語問題。アイテンディティなど、様々な議題について分析、議論。

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日本在住の日系人も老後の時期にきたのか

コロナ禍になって1年半が過ぎたが、日本国内では最近外国人の高齢化問題をテーマにしたセミナーが増えている。今年の3月末に名古屋市で開催されたシンポジウムは対面とオンラインのハイブリッド型で、私は「在日南米コミュニティーの高齢者の老後」について話をするためスピーカーとして招かれた。このシンポジウムでは、韓国人や中国人オールドカマーの事例やフィリピン人たちの試みなどが紹介され、とても興味深いものだった。

特に、我々南米の人間とフィリピン人は「老後」や「終活」という概念についてあまり深く考える機会をもたず、文化的にあまり馴染みがないことが分かった。主催団体の代表である木下貴雄(王榮) 氏によると、中国系のコミュニティーでは、老…

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ウルグアイ日系社会の111年の足跡 — 第2部 花卉栽培とブエノスアイレスとの繋がり、そして次世代の日系ウルグアイ人

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ウルグアイの日系人が最も多く従事した業種は花卉栽培で、40年ぐらい前までは花卉事業で十分な利益を得ることが可能だったようである。私の生まれ育ったブエノスアイレス郊外のエスコバール市も「花の都」として知られており、戦前から花卉栽培が盛んであった。エスコバールは首都ブエノスから北50キロ離れたところにあり、早い時期から鉄道も敷かれており、土壌が花の栽培に適していた。1940年ごろ、首都ブエノスアイレス郊外には100軒以上の花卉栽培者が存在しており、当時の記録によると、合計所有地が48ヘクタールで、借地が325ヘクタールにも及んでおり、切磋琢磨かつ熾烈な競争だったようである。2019年には、エスコバールは…

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ウルグアイ日系社会の111年の足跡 — 第1部 日本人移住の特徴

南米にあるウルグアイ(正式名称:ウルグアイ東方共和国)は、面積は17万平方キロメートル(日本の約半分)ほどの小さな国で、人口は横浜市とほぼ同じ350万人である。この国が最近日本で話題になったのは、2016年にホセ・ムヒカ元大統領が来日したときであろう。この時ムヒカ元大統領は、東京外国語大学で講演をし1、テレビで「世界でいちばん貧しい大統領2」としてとても質素で気さくなところを紹介された。また最近では、赤身の「ウルグアイ産牛肉」が焼肉チェーン店や肉専門店に提供されていることでも注目を浴びている3。 

しかしこの国にも、現在350人前後の小さな日系社会が存在していることはあまり知られていない。しかも日本人が最初に…

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外国人児童の不就学、低い高校進学の課題〜日系子弟への警鐘

現在、日本の義務教育修了率はほぼ100%で、高校進学率も98%となっており、就学率と修了率は世界一である。大学進学率は53.7%と、先進国の中ではあまり高くないが、専門学校進学率23.6%を合わせると8割以上が高等教育を受けていることになる1。その内容やスキルの水準はともかく、労働市場で柔軟に対応できる能力を持った人材が育成されていることがこの数字に表れている。いずれにしても中等教育の修了率が高いのは、日本の教育制度が完備しているからである。一方、ラテンアメリカ諸国では義務教育の中退者や不就学が未だに3割前後いるとされており、貧困が深刻な地方都市や農村ではそれ以上だと指摘されている2

1990年の入管法改正で南米の日…

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「国際日系デー」の意義〜次世代のアイデンティティー発見

2018年6月ホノルルで同時開催された「ハワイ日本人移住150周年記念式典」と「第59回海外日系人大会」の場で、6月20日が「国際日系デー」に制定された1。この「国際日系デー」を提唱したのは、沖縄県名護市に在住している日系アルゼンチン人のアンドレス比嘉さん2と日系ペルー人のアンドレス正(ただし)伊佐さん3である。沖縄出身の先祖を持つこの二人4は、世代が進むにつれてルーツが薄ていくことに危機感を持ち、2015年から「世界ウチナーンチュの日」構想を練り始め、翌年第6回ウチナーンチュ大会の時にそれを実現した5。二人が「日系のルーツを誇りに思うきっかけになってほしい」という思いのもと「国際日系デー」構想が承認されるよう各関係機関…

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