Delta からOmicronへ。2021年も、コロナ感染の渦中に飲み込まれたまま光陰矢の如しでした。
春、コロナ禍で職を失ったうちの家主が、家を売ると言い出し、「おっとー!俺もとうとうホームレスかあ!?」 と騒いだら、友人のソーシャル・ワーカーが「すぐにコミュニティ・ハウジングに申し込め」と言って申請を手伝ってくれた。数ヶ月後、ダウンタウンのド真ん中、CNタワーの麓、中華街の隣、オンタリオ美術館の裏のアパートに落ち着きました。ここは百年前にはThe Wardと呼ばれた移民たちが一旦住み着いた地区で、今では、ホームレスのシェルターから超高層コンドミニアムまで全部つまった「The Torontonian Bento Box」みたいなところ。
大晦日は、バルコニーからCNタワーを見ながらカウントダウン。摩天楼にこだまする「YEAH!!」という叫び声と同時に続いた無数の花火の炸裂音(霧で見えなかったけど)。
娘・そのみから毎年送られてくる可愛い干支の絵 (今年は寅年)を見ながら、友人の昌子さん(イヌイット・アート収集家として知られる)が、「今年も新年会はできないから、お節をお配りします」といって届けてくれた、心のこもった御節がこれです。
重箱の真ん中で威張っているのは、漢字で「海の老人」と書いて「エビ」と読むSHRIMP。ヒゲが長く伸び、腰が曲がるまで長生きできますように、という縁起物。黒豆は「苦労しても豆で」健康でありますように、昆布巻きは「養老昆布」(よろこぶ)という語呂合わせなんだと。お餅はあとで雑煮にいれました。汁の中でなが〜く伸びて長持ちしてください、というこれも正月の縁起物。
右にあるのは、歩いて五分の中華街で見つけた、なんと懐かしい「干し芋」$1.99!これが品のいい甘さでなかなかいける。「芋」は植えるとたくさんできるから「子宝にめぐまれますように」という意味。僕はもう関係ないけどね。
真ん中は住所変更をした運転免許証。めっきり目と足が衰えたから、これを最後に返納しようと思っています。人生、諦めが肝心だからね。そして、左が友人のライター・増谷松樹さんが書いた詩集「I will be more myself in the next world」。とってもよいタイミング。じっくり読んで楽しいコメントを送ろうと思います。
こうして僕の正月三ヶ日も静かに黄昏て、CNタワーの照明が色とりどりに点りました。今年も、家族と友人に支えられて、コロナにめげず、静かにちょっと寂しく物足りないけど、それはまだもっと伸び代(成長の余地)があるってことにちがいありません。ぼくの「一年の計」でした。お節、ありがとう。ごちそうさま。
編注:このストーリーは、ディスカバーニッケイの「ニマ会の伝統:お正月の食べ物」写真アクティビティへ投稿されたものですが、この作品のみ別に掲載することにしました。その他の投稿されたストーリーはこちらからご覧ください。
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© 2022 Yusuke Tanaka