ニマ会の伝統:2022年お正月の食べ物
長く、大変な1年が再び終わり、世界中のニッケイの人々は、2022年のお正月をこれまでと変わらない喜びと共に祝いました。安全に集まれる人々は集まり、そうでなければオンライン上で集い、普段は購入したりパーティーで食べたりしているおいしいお節料理を手作りしました。そしてより良い新年を願って、人々は祝杯を上げました。ディスカバー・ニッケイは、1月のEニュースレターで、世界中のニッケイの人々に新年を祝う際に食べたものの写真の共有を呼びかけました。その結果、私たちのもとには英語、日本語、スペイン語、ポルトガル語での投稿が届きました。
ディスカバー・ニッケイのボランティア、アリソン・スキルブレッドさんがすべての投稿画像を一本の映像にまとめてくれました(これを見ればきっとお腹が空きますよ!)。投稿いただいた皆さんには、写真の背景にあるストーリーの共有をお願いしました。ここでは、そのうちいくつかをご紹介します。ストーリーは翻訳し、表現に明瞭さと一貫性を持たせるために多少編集しました。
みなさんにとって、安全で健やかな一年になりますように。
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ビッキー・ムラカミ=ツダ(米国カリフォルニア州ガーデナ)
パンデミック禍で、私は手術後の回復途中でしたが、夫や家族、友人たちのお陰でなんとか新年のお祝いをすることができました。大晦日の深夜には年越しそばとノンアルコールのユズのスパークリングドリンクと、元日にはお雑煮を食べて祝いました。今年は間違いなく幸運と健康が必要です!
アリソン・イワモト(米国カリフォルニア州ロサンゼルス)
イワモト家3世代は、パソコンを囲んで新年を迎えました。娘のアイコは、私がコミュニティの料理本を頼りに初挑戦したお雑煮を堪能しています。大好きなお正月料理を作るために費やされてきたすべての時間と愛情に、今になってようやく心から感謝しています。
松本アルベルト(日本神奈川県横浜市)
我が家では、日本酒を飲みながらお雑煮を食べます。日本には各地特徴のあるお雑煮があります。アルゼンチンにいた頃両親と食べたお雑煮は味噌味で、そこに野菜や鶏肉、そしてお餅が入っていました。ときにはあんこ餅も入れることもありました。ここ日本では妻が東京出身なので、醤油味か薄い昆布の出し汁のお雑煮で、野菜とかまぼこが入っています。これに慣れましたが、時々幼少期の味が恋しくなります。
リンダ・オースティン(米国ミズーリ州セントルイス)
中西部からフロリダ、アラバマと、今までいろいろなところへ住んできましたが、どこにどこに住んでいてもお正月に食べるお餅を見つけることはできました。1980年代に日本をルーツに持つ人々がほとんどいない地域で、これは驚くべきことでした。私は、古いほこりを払い、新年に備えるための大掃除もしますが、母の大掃除よりはるかにやり過ぎてしまうことは自覚しています。
ミシェル・ヒロセ(米国カリフォルニア州ロサンゼルス)
ソーセージドーナツは、年に2回(コロナ前)しか食べられない特別な食べ物でした。8月の二世週日本祭の2回の週末と、その次に食べられるのは元日でした。4年前から、カフェ・ドゥルセのオーナー、ジェイムズ・チョイさんからソーセージドーナツを1ダース受け取るのが大晦日の恒例になりました。
長年にわたり、我が家では伝統的なお正月料理ではないものがお正月のメニューに加えられてきました。例えば、チャイニーズチキンサラダ、ワンタン、スパムむすびなどです。これらのメニューは、日系アメリカ人の持ち寄りパーティでなければならないもので、我が家ではこれらの料理用のテーブルを置くするようになりました。しかし、メインテーブルには、豪勢なおせち料理が並びます。私は話をしながら、一日中いろいろな料理をつまみ味わいます。
ラウラ・ハセガワ(ブラジルパラナ州ロンドリーナ)
友人のアメリアさんは料理が得意で、お正月にはいろいろな料理を振る舞い、皆を喜ばせています。日本のごちそうとブラジルのごちそうの競演ですよね。
アメリア・オキ(ブラジルサンパウロ州サンパウロ)
お正月に日本の食べ物を作るのが大好きです。このどら焼きは特別なものです。長い間どら焼きを作りたくて、型を探していましたが、見つかりませんでした。それを知った90歳の知り合いの佐藤さんが「母から受け継いだ型をあなたに上げるわよ」とくださいました。どら焼きを作る度に、佐藤さんの温かい思いやりを感じます。
西村陽子(米国カリフォルニア州ロサンゼルス)
2021年12月19日に、ロサンゼルスの禅宗寺で行われた餅つきイベントへ参加しました。コロナ禍なのでマスクは着用。正確に言えば、これは息子にとって人生二度目の餅つきでしたが、1回目は全く覚えておらず、実質初体験。餅つきよりもお餅を食べることを楽しんだ息子ですが、日系人となる息子には、ここアメリカでできるだけたくさんの日本の伝統にも触れてほしいと思っています。
後藤麻美(日本東京)
海老が大好物の3歳の娘LEA。おせち料理の中に入っている「海老のつや煮」を見つけて元日の朝から大興奮!
海老は、長いひげや曲がった腰は長生きをした人間の象徴であることから、新しい1年を健康で過ごし、腰が曲がるまで長生きできますようにという願いを込めて、おせち料理の食材として使われているそうです。今年一年も元気に過ごせますように!
メアリー・スナダ(米国カリフォルニア州セリトス)
私の家族は、伝統的なお正月と共に2022年を迎えました。スパークリングサイダーで乾杯し、「あけましておめでとうございます」と挨拶し、お雑煮を食べました。椎茸、煮しめ昆布、里芋、こんにゃく、きんぴらごぼう、レンコン、かまぼこ(紅白)、黒豆、刺身、すし、照り焼きチキン、白米で一日中皿をいっぱいにし、温かいお茶を飲み、健康と富、長寿を願いました。そして一日の終わりには、希望と喜びをもって、母の74歳の誕生日と新年を祝いました。
モニカ・小木曽(アルゼンチン、ブエノスアイレス)
毎年末、母は新年に向けておせち料理の準備をし始めます。日本と同じ食材で調理するのは難しいですが、数日前から大根やこんにゃく、椎茸そしてタケノコの煮物を作ります。ごぼうが手に入ったらきんぴらごぼうも作り、昆布巻きやスイートポテトのきんとんや黒豆も作ります。
当日、家族が集まる前に三食巻き、卵焼き、サーモン焼き、エビフライを重箱に詰めます。時々かまぼこも自分で作ることもあります。毎年、友人や親せきは母のおせち料理の写真を楽しみにしており、この母のおせち料理を1年後にまた味わうのを我が家の誰もが楽しみにしています。
アルゼンチンのお正月は真夏!でもお雑煮は欠かせないお正月の料理です。
桜の葉を手に入れたら、桜餅を作る母。桜餅は家族みんなの好物!
アンドレ・シシド(ブラジルパラナ州クリティバ)
私たち一家は、年末になるとクリスマスと新年を祝うために必ず集まります。この時期、家族には誕生日を迎える人がたくさんいます。誰かの誕生日には、特別な、どう見ても一般的ではない料理を作るのが伝統のひとつになっています。写真は、叔母の誕生日とクリスマスの食卓の様子です。ブラジル料理と日本食が混在しています。ちらしずし、チキン、ジャガイモのマヨネーズ和え(ブラジリアンバーベキューに欠かせない副菜)、刺身を作りました。お正月の1週間は、家族と一緒に食べ、共に楽しむ時期なのです。
カイリー・ツダマ(米国カリフォルニア州ガーデナ)
この写真には、祖父のお気に入りの祝日であるお正月に私たちが食べる恒例の料理の大半が写っています。私たちは必ず家族で集まり、一緒に伝統料理を作ります。家族そろって朝はお雑煮に始まり、最後はごちそうを食べて終わります。
メリッサ・メサ(米国カリフォルニア州サウスパサデナ)
祖母が亡くなったとき、レシピも同時に失われました。ある年私たちは日系人教会の料理本を開き、お正月レシピを一つずつ選びました。私たちオオサキ姉妹の最初のお正月にはお雑煮、いなりずし、いんげんの胡麻和え、牛照り焼きの巻きものなどがありました。それから20年後、レパートリーは増え、次世代のオオサキ家もそれぞれ貢献してくれています。コロナ禍で私たちは料理を詰め、(マスクをして十分な距離をとって)外で集まり、持ち帰り用に詰めた互いの料理をシェアしました。私たち家族のお正月の伝統が、今後何世代も続くことを願っています。
サチコ・オザキ・オーツ(米国カリフォルニア州サンタバーバラ)
米国で2人の子どもを産んでから、おせち料理などのお正月の伝統を子供たちと共有することは重要だと感じています。子供たちには、おせち料理にはそれぞれ意味があることを話しています(長寿と健康、成功と繁栄、平穏と安定、五穀豊穣など)。一般的ではありませんが、我が家の伝統に従って、また日本でこの伝統を始めた亡き祖父に敬意を表して、元日の夕食にはすき焼きをいただきます。すき焼きは、私たちの大好きな鍋料理です。
ミッキー・オカモト(米国カリフォルニア州モンテベロ)
この写真は、母の恒例のお正月を捉えています。黒豆を含め、ほとんどが手作りです。母にとってお正月は、毎年恒例のスーパーボウルのようなものです。母は何日も前から買い物と料理を始めます。パンデミック以前は、20人以上のゲストのために料理をしていました!
お雑煮は、地域や家庭によって実に多くのバリエーションのある楽しいお正月料理です。私の家族のお雑煮はとてもシンプルです。かつお、昆布、鶏だしに醤油少々と付け合わせです。シンプルなお雑煮はお正月には欠かせません。
ロビン・バネマン(アケミ・バネマンの代理投稿)(米国カリフォルニア州バーバンク)
母がお正月のために作った数々のおせち料理の写真をモンタージュにしました。かまぼこ、かずのこ、紅白なます、えび、お雑煮などがあります。おせち料理が私にとってとても重要なのは、毎年母による手料理だからです。今年75歳になる母は、こうした小料理を何日もかけてじっくり作っています。
おせち料理以上に “日本的”なものはないように思います。完璧主義、プレゼンテーション、精巧さが要です。日本文化と他の文化の一線を画す、まさにその特徴を体現しているのがお節料理ではないかと思っています。急ごしらえで作ることのできない、おいしさを超えた深い意味が一品一品にあり、文化や歴史、人々が表現されています。
私の母は日本出身です。私はアメリカで生まれましたが、幼い頃から毎年夏になると日本へ行き、最大で20回、毎回最短でも6週間は家族と過ごせたことに感謝しています。いつか自分の子供たちにも、母の味を取り入れた料理を伝え、何世代にもわたって伝統を守っていきたいと思います。写真のテーブルランナーも、才能豊かな母の手縫いです。
ヒトミ・ミヤシロ(アルゼンチン、ブエノスアイレス)
アルゼンチンの日系人家庭のクリスマスとお正月には、いつもアルゼンチン料理と日本食を食べます。ステーキから「アサード」(BBQ料理)、さらにはイタリアの伝統料理である「ビテル・トネー」というツナとアンチョビとマヨーネーズソースかけの牛肉などを食べます。
お正月に食べる料理の中には、巻き寿司やいなり寿司もあります。また、春雨の酢の物やマンゴとイチジクのサラダは、暑いお正月には最適です。煮つけと肉の角煮も食卓に並びます。
あまい伝統菓子パンドルチェと日系二世の女性起業家が作ってくれたどら焼きをおいしいコーヒーと共に食べます。
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*お正月料理の写真とストーリ、楽しんでいただけましたでしょうか。投稿されたストーリーの一つを別に掲載したので、そちらもご覧ください。また、過去または今後のこのようなアクティビティについては、「ニマ会の伝統」ページをご覧ください。
ニッケイ食って何?
2022年2月26日(土)
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