アメリカの日本語媒体

アメリカ各地で発行されている有料紙、無料紙、新聞、雑誌などの日本語媒体の歴史、特徴、読者層、課題、今後のビジョンについて現場を担う編集者に聞くシリーズ。
このシリーズのストーリー

第13回 新オーナーに聞く ー ロサンゼルスの日本語ラジオTJS
2023年10月9日 • 福田 恵子
インターネットラジオに 子どもたちを学校に送っていく朝の時間帯、車内で聞いていたのはロサンゼルスの日本語ラジオ局の番組『LAモーニング』だった。その後、下の子どもが高校を卒業すると、日本語ラジオを聞く機会がなくなってしまったのだが、私が知らない間にTJSはインターネット放送に切り替わっていた。インターネット放送にすることで、FMよりも音質が良くなり、高額な電波料金が不要になり、世界のどこからでも聴けるというメリットが生まれた。それを実行に移したのが、2021年9月、前の…

第12回 全米に行き渡るインターネットラジオ『さくらRADIO』
2023年3月31日 • 福田 恵子
コミュニティーをつなぐ ニューヨークからインターネットで配信している『さくらRADIO』は2017年10月にスタートしたのち、数年かけてじわじわと全米の日系コミュニティーに浸透してきた。同ラジオが異色な点は、メディアとは異業種である人材会社インテレッセによって運営されていることだ。 インテレッセ社長の藤原昌人さんはラジオ開設の経緯を次のように語る。 「人材ビジネスで全米各地をまわっていると、ニューヨーク、カリフォルニア、ハワイ以外のエリアでは、ほぼ日本語の媒体が存…

第11回 世代をつなぐ日本語テレビ 『Japan Hollywood Network』
2022年12月21日 • 福田 恵子
視聴者の最大母数は85万人 30年前に日本からロサンゼルスに移り住んだ時、新しい習慣が生まれた。それは日曜の夜、現地で放送されている日本のテレビドラマを見ることだ。ロサンゼルスに来るまでは出版社で忙しい日々を送っていたので、テレビドラマを見ることなどほとんどなかったし、何より日本のドラマよりハリウッド映画を見る方がずっと楽しかった。しかし、いざ日本を離れるとそれまで見たこともなかった『渡る世間は鬼ばかり』といったドラマを楽しみに日曜を迎えるようになった。それは自分でも驚く…

第10回 1975年から2010年まで発行・日系文化を育む雑誌『TV FAN』
2022年1月10日 • 福田 恵子
日本語テレビ番組を紹介 私が初めてフリーランスのライターとして活動を開始したのは2003年、原稿を書かせてもらった雑誌の名前は『TV FAN』だ。以降、同誌の最後の発行人となった竹内浩さんが2010年に発行を止めるまで原稿を書かせてもらった。そして休刊後、日系のイベントに行くと、「『TV FAN』はもう発行されないのですか?」と読者から度々質問された。あれから11年経ち、今はもうさすがに聞かれることはなくなったが、質問されていた頃は「『TV FAN』は随分と熱心な読者に支…

第9回 2000年開設『びびなび』全米33カ所、世界展開のオンラインメディア
2021年12月27日 • 福田 恵子
参加型の媒体 これまで本シリーズでは、全米各地で発行されている新聞や雑誌など紙媒体の編集責任者に取材してきた。しかし、インターネット社会の今、紙媒体以外に、オンラインのみで運営している「日本語媒体」にも焦点を当てるべきだろう。この原稿を書いている『Discover Nikkei』自体もまたオンライン媒体だ。オンライン媒体は、世界中どこからでも見られること、修正が必要な時にすぐに対応できること、さらには情報を見ている側もコメント欄に書き込むことで双方的なやりとりが可能なこ…

第8回 1984年発行『日刊サン』—LAのコアな読者に支持される新聞
2021年11月22日 • 福田 恵子
ドジャース野茂旋風が転機に 私がロサンゼルスで暮らし始めた1992年当時、日本語新聞『日刊サン』は有料だった。その後、無料紙になったこと、さらにトルネード旋風を巻き起こした、ロサンゼルス・ドジャースの野茂選手の登場で、まだインターネットから情報を取ることが一般的ではなかった90年代半ばに、一気に同紙が身近な存在になったように記憶している。野茂選手がいかに『日刊サン』の救世主だったかを熱く語ってくれたのは、創業者の牧野泰さんから2012年に事業を譲り受けた現発行人の冨山…
国際基督教大学を卒業後、東京の情報誌出版社勤務を経て1992年渡米。ロサンゼルスの日本語情報誌の編集長を2003年まで務めた後、同年フリーランスとして活動開始。人物取材、アメリカの教育事情、日本食事情などをテーマに取材を続け、2024年に郷里の大分に活動拠点を移す。その後もオンラインを通じて取材執筆活動に従事。ウェブサイト: https://angeleno.net
(2024年10月 更新)
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