ディスカバー・ニッケイ

https://www.discovernikkei.org/ja/journal/2024/2/2/yamato-group/

第7回 〝日本の味〟にこだわるヤマトグループ

第7回目はヤマトグループ(本田総一郎代表)の本田南帆取締役に話を聞いた。

同社は今日、サンパウロに暮らす日本人なら知らない人はほぼいない「らーめん和」や寿司、丼ものから定食、日本のゴーゴーカレーまで幅広いメニューを揃える日本食レストラン「エスパッソ和」、専門のパティシエが作るジャパンテイストの各種ケーキやパンが魅力のカフェテリア「和ケーキ」といった外食サービスを手がける。その原点は、今も同社の中核事業である日本食品・雑貨の輸入販売で、日本食を通じてブラジルの食生活に彩をそえてきた。

カズ・ケーキの店内


冷凍食品輸入のパイオニア

1991年に設立されたヤマトグループは、貿易会社として、商材を通じた人の「思い」を伝えることを一番の喜びとしている。初期に手がけた事業の一つは、ブラジルで初めて冷凍コンテナによる日本食の輸入を実現したことである。その品目には冷凍サンマがあり、当時、日本の味が懐かしい人々には大変喜ばれた。

同社の輸入卸部門では現在、味噌、うどん、納豆、餃子、シュウマイ、冷凍おろしワサビ等、冷凍食品を含めた178品目を取り扱っている。日本の製品を深く理解し、ブラジル市場に密着して得られたノウハウを活かし、小売店とレストラン向けの食品から厨房機器・用品まで幅広く輸入している。

創業時から特に海産物の輸入品が高評だったが、2011年の東日本大震災により規制が厳しくなった。その後、新たにカツオ節を輸入するためにブラジル政府へ約6年の申請手続きを経て、ようやく昨年から販売を開始できた。

他にも日本酒、焼酎を輸入し、エスパッソ和内で専用のクーラーを設置して販売している。ブラジル人や中国人の顧客もよく出入りし、ピンポイントで銘柄を選んで購入していく人もいる。ただ、ブラジルの規制により、現在は芋焼酎が輸入できない。愛好者も多い芋焼酎を輸入できるように、日本側が官民挙げてブラジル政府に働きかける必要のある状況である。

エスパッソ和の正面


日本移民100周年を記念した「らーめん和」

「サンパウロに来たら必ず行く」と言う人がいるくらい、地方に暮らすラーメン好きの心まで捉えた『らーめん和』。2008年のオープンから今年の6月18日の移民の日に15周年を迎えた。

らーめん和のラーメン

オープンのきっかけは、日本の味噌ラーメン専門店「田所商店」(トライインターナショナル社)が、2008年の日本移民100周年を祝して何か協力できることはないかと提案したことだった。そこで、貿易会社の強みを生かして、ブラジル在住の人々に「何か日本の本物の味を」と、期間限定でラーメンを提供することになった。

ところが、企画の段階で、期間限定でも店をオープンするのも予算に変わりがないことが分かり、フランチャイジーとしてオープンすることになった。それがヒットした。日本から麺と味噌とタレ、昆布やメンマまでを輸入し、日本とまったく同じ味のラーメンを提供して、日本人、日系人だけでなくブラジル人の胃袋もつかみ、今日では行列のできる店に成長した。

ブラジル初へのチャレンジを続ける

本田南帆取締役

現職に就いて約1年半の本田氏は、子供の頃から創業者の父、高木和博氏が、ブラジルの日本食エリアで新たなチャレンジをする姿を見て育った。初期にはブラジルで珍しかった寿司ロボットを導入して弁当やケータリング事業を始め、後にはおにぎりフィルムを使用したおにぎりを販売するなど、ブラジルにはなかった日本文化を次々と開花させた。

「先代は、115年前に日本人移民が始まり、様々な苦労を乗り超えて、今日の日系社会を築き上げたと口癖のように言います。私も新たなチャレンジを続けて成長し、弊社の事業を通じて日系社会を支え、ブラジルの人々と幸せに歩んでいきたいです」と述べる本田氏は現在、新たに2事業のスタートに向けて準備を進めている。

社員の皆さんとの親睦運動会の集合写真

一つは、パンデミック以降、ラーメンブームも相まって注文が急増したラーメンのデリバリーを充実させるため、ゴーストレストラン(デリバリー専門の客席のない飲食店)を開始する。

さらに、「豚肉や油にこだわったおいしいとんかつが食べたい」との思いから、とんかつと串揚げ専門店のオープンを企画している。串揚げはブラジルの日本食の新たなジャンルであり、おしゃれな串揚げコースをサンパウロでも楽しめる日がそう遠くない。

ヤマトグループ社概要
正式名称:Yamato Comercial LTDA. 
所在地:
サンパウロ
設立年月:
1991年
従業員数:
80名
事業内容:
日本食品・雑貨の輸入卸販売、外食・レストラン・フードサービス

 

*本稿は、『ブラジル日報』(2023年7月1日)からの転載です。

 

© 2023 Tomoko Oura

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このシリーズについて

パンデミックの厳しい環境の中でも事業を継続してきたブラジルの日系企業。コロナ禍も落ち着き始め、サステナビリティを目標とした新しい価値基準が求められる中、本連載では「ブラジルで活躍する日系企業の今」をご紹介する。ブラジル日本商工会議所協賛企画。『ブラジル日報』からの転載。

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執筆者について

1979年兵庫県生まれ、高校卒業まで神戸市で育つ。大学卒業後、2001年からブラジル・サンパウロ在住。フリーランスで現地の日本人向けマスコミを中心に取材・執筆活動ほか、編集業務に携わっている。

(2023年9月 更新)

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