12月中旬、雨上がりの「水芳園」を訪れました。サンフェルナンドバレー、ヴァンナイズのティルマン下水再利用プラント内にある日本庭園です。
訪問にあたり、前もって電話にてドーセント(ガイド)をお願いしておきました。運が良かったのか、この時間に予約したのは私一人。ドーセントのジュリー・ウーさんと二人で廻ることになりました。
この日本庭園が造られた歴史から始めることにしましょう。
「水芳園」がある下水再利用プラントの正式名称は、「Donald C. Tillman Water Reclamation Center」。ドナルド・ティルマンは、ロサンゼルス市の水道技術者だった人です。60年代、市の水道局に勤務していたティルマンは、サンフェルナンドバレー地区の下水量増加という問題を抱えており、解決策として二つの選択肢を迫られました。一つはロサンゼルス地区の巨大プラント、ハイペリオン下水処理場に送られる下水管を増設すること、そしてもう一つは水の再利用施設を作ることでした。
ティルマンが選んだのが後者。下水(生活排水)が、いかにきれいな水に戻されるのか、市民に知ってもらいたいという考えからです。そこで、UCLA時代、日本庭園に造詣の深いカワナ・コウイチ教授に学んだティルマンは、処理された下水を活用した日本庭園を思いつきました。カワナ教授による全面的な協力を取り付け、日本庭園の造園計画が始まりました…