最近、「幼なじみと今でも交流が続いています」と言うと、驚く人が大勢います。その上、その幼なじみとは60年来の交流だと知って、更にビックリ。「いいなぁ。うらやましいわ」と、みんなが言ってくれます。
わたしは誇りに思っています。幼なじみは1人ではなく、実は7人兄弟なので、60年経った今では、30人以上の大家族になりました。
先日、その幼なじみを訪ね、ちょうど帰るときに、ドアを出て後ろを見ると「変わった花」に目が止まりました。くしゃくしゃになった紙のようで、もっと近づくと「あら!『てるてる坊主』じゃない!」
とても意外でした。1メートルぐらいの植木に『てるてる坊主』がぶら下っていました。クリスマスツリーのようでしたが、ゴージャスな飾りではなく、しょんぼりした『てるてる坊主』が幾つか。見ているだけで悲しくなりました。
「この子たちは失敗しちゃったの!」と、ケイコが真顔で言いました。
「えっ、どういうこと?」
「この間、マリオの娘が結婚したでしょ」
「そうだったわね。ヴィヴィーさんの花嫁姿はきれいだったでしょ。でも、それとこれと、関係があるの?」
「もちろん!ヴィヴィーは、結婚式の日に雨が降ったら困ると、とても心配していたの。そこで、マリアが『てるてる坊主』を用意すると約束したの」
「マリアに聞いたわよ。けれども、その日は雨だったんだって。残念だったわね。でも、もう大分経ったのに、なんで、『てるてる坊主』がまだ植木にぶら下っているの?」
「私たちは、『てるてる坊主』を約束どおりに作ったと、ヴィヴィーに是非見てもらいたいから。失敗しちゃったのは『てるてる坊主』の方だから」
わたしはとても面白くていい話を聞いたと、文章にしたくなりました。
ちょうどここまで書き、ケイコにメールをしました。「『てるてる坊主』、その後、どうなった?」と。
返事がすぐにきました。
「まだ、植木にぶら下っています。実は、みんなで「churrascada1」 や「festa junina2」を計画したので、今度こそ、『てるてる坊主』に頑張って貰わないと、メンバーも増やしました。おかげ様で、2度とも天気が良くて、大成功!私たちは『てるてる坊主』を信頼しているから。ヴィヴィーはまだ見に来ていないけど、私たちが協力したことだけは分かって欲しいの。」
なんてすばらしいのでしょう!日本の昔からの風習がこの遠いブラジルで、三世代にわたって伝わっているなんて!
そして、このエピソードに、私自身も改めて、日本の文化、風習のよさを再認識しました。
今回、幼なじみのタキモト家に感謝しています。もし、あの『てるてる坊主』に出会っていなかったならば、この文章を書くことにはならなかったでしょうから。ありがとう。
最後に、冬のサンパウロは雨の日の連続です。正直に言うと、ここのところ、ウォーキングに出かけていません。久しぶりに、『てるてる坊主』を作ってみよう!
てるてる坊主 てる坊主
明日 天気に しておくれ
追記:
最新情報によれば、タキモト家で、更に大きなジャイアント・てるてる坊主が作られ、ファミリーイベントで披露されたそうです。残念ながら「churrascada」が盛り上がったあまり、写真撮るのを忘れてしまったそうです。
注釈
1.ブラジル風のバーベキュー
2.6月の祭り
© 2013 Laura Honda-Hasegawa
ニマ会によるお気に入り
特別企画「ニッケイ物語」シリーズへの投稿文は、コミュニティによるお気に入り投票の対象作品でした。投票してくださったみなさん、ありがとうございました。