南米の日系人、日本のラティーノ日系人
日本在住日系アルゼンチン人のアルベルト松本氏によるコラム。日本に住む日系人の教育問題、労働状況、習慣、日本語問題。アイテンディティなど、様々な議題について分析、議論。
このシリーズのストーリー
経済危機の中の日系人:危機後の雇用と家計設計の是正
2009年12月14日 • アルベルト・松本
世界経済危機の影響受け日本政府は様々な対応策を採用してきた。雇用不安を解消するために、職業安定所「ハローワーク」や各都道府県の労働局、労働基準監督署等の相談窓口を強化し、外国人相談に対しても通訳員を大幅に増強して対応に当たってきた1。また、雇用保険未加入者には、その労働者を雇用している企業にも最低加入期間である6ヶ月間を遡って加入できるように配慮し、非正規労働である間接雇用の多くの日系就労者はこれで保護されたのである2。 それだけではなく、雇用保険受給期間中には「日系人就…
日本でも、日系人いやラティーノの特徴を活かして共存を
2009年11月26日 • アルベルト・松本
日系人だけではなく、移民したものとその子孫、特に二世は、二つの文化を持つことからそのメリットがよく注目される。しかし、出身国の文化や習慣、伝統等をどのように移民先の社会で表現し、プラス要素として評価されるようにするのかは日系人自身にとって常に大きな悩みであり、社会統合面では大きな課題である。 筆者もアルゼンチンで育った移民の日系二世として、小学校の頃から無意識にそのことを意識せざるを得ない環境下で育ってきた。南米諸国のほとんどがヨーロッパ移民を受け入れて国づくりをしたが、…
移民の子供と学力、親の強い意思が必要
2009年10月22日 • アルベルト・松本
1月と2月に、名古屋と横浜で財団法人海外日系人協会の主催で『在日日系人のための生活相談員セミナー』が実施された。その際、私は「帰国者の受け入れ支援について〜ペルー、アルゼンチンを中心にして」というテーマで発表した。日本にいる南米系日系子弟の状況や上記二カ国の教育統計や帰国子弟の支援策等について調べたところ1 、ペルーのリマではKYODAIという団体(日系の協同組合の一環である)の中には精神カウンセラーや教育問題に精通しているスタッフがそうしたケースの帰国子女に対応しており、…
移民記念事業は歴史の重さを自覚する機会である
2009年8月27日 • アルベルト・松本
2008年は日本人のブラジル移民100周年を祝う年であったため、日本でも各地で様々な関連行事が開催された。日本に在住している日系人によるイベントもあれば日本政府をはじめ、地方自治体や大学等が主催したものもあった。セミナー、シンポジウム、文化交流イベント、ミスコン、展示会等多岐にわたって、多くの日本人がこの一世紀にわたって海外に移住し、その経緯や過程、移住先での苦難と功績、そして現状と展望等を日本社会にアピールした。メディアでもかなり取り上げられたが、それでもこの移民という現…
日系就労者に厳しい経済・労働環境には冷静な分析を
2009年7月30日 • アルベルト・松本
2008年10月頃から、今回の世界経済・金融危機のニュースが頻繁に流れるようになり、第4四半期の新聞記事等を見る限り、人員削減、派遣切り、そして正社員の賃金・ボーナスカットやリストラまでもがささやかれ、幹部職員の早期退職という見出しも見られた。特に輸出向けの自動車、自動車部品、電子・電器産業という製造業への影響が大きく、2009年4月頃までには非正規雇用50万人の契約が解除されるという予測もでた。日系就労者の半数以上は、これらの業種の下請けや関連工場で働いており、それも派遣…
地域社会と行政の橋渡し:外国人を代表する会議 - 自治体の外国人代表者会議と集住都市会議
2009年1月22日 • アルベルト・松本
外国人を代表する会議とは90年代はニューカマーの外国人が大量に来日し、定住するようになった時期であり、アジア諸国ではなく南米からの外国人が増えたことが特徴であ る。入管法の改正で日系人が労働市場に現れ、デカセギ労働者といわれながらも、今は定住化しつつあるため、移民労働という位置づけの方が適切である。戦前・戦後海外に移住した日本人の子孫だが、国籍も、文化的背景も、習慣や価値観も異なり、そして日本語の知識も乏しく、日本での生活は思ったより摩擦と不理 解が生じたのである。 かな…
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