和泉 真澄
(いずみ・ますみ)
同志社大学グローバル地域文化学部教授。東京外国語大学、クイーンズ大学大学院政治学研究科を経て、同志社大学大学院アメリカ研究科博士課程修了。博士(アメリカ研究)。専攻は日系アメリカ人・日系カナダ人文化史。環太平洋の第二次世界大戦中の日系人の体験を国際比較するPast Wrong Future Choicesプロジェクト(ビクトリア大学)のアーカイブ班共同代表。主著に『日系カナダ人の移動と運動――知られざる日本人の越境生活史』(小鳥遊書房、2021年度カナダ研究国際協議会(ICCS)のPierre Savard賞外国語出版賞)、『The Rise and Fall of America’s Concentration Camp Law』 (Temple University Press、全米図書館協会 The CHOICE Outstanding Academic Titles 2020受賞)、『日系アメリカ人強制収容と緊急拘禁法――人種・治安・自由をめぐる記憶と葛藤』(明石書店)、共著『私たちが声を上げるときーアメリカを変えた10の問い』(集英社新書)、翻訳書に『ノブコ・ミヤモト自伝』(小鳥遊書房)などがある。
(2024年3月 更新)
この執筆者によるストーリー
『破られた約束』— 日系カナダ人史に関する日本巡回展示が産んだ旧移民村同士の交流 — その2
2024年3月13日 • 和泉 真澄
その1を読む >> 2023年11月1日から2024年2月25日まで、滋賀県の東近江市にある滋賀県平和祈念館で、日系カナダ人の太平洋戦争中の強制移動と財産没収に関する展示『破られた約束-太平洋戦争下の日系カナダ人』が開催された。 この展示に合わせて、11月18日には和歌山県日高郡美浜町三尾からカナダ移民の子孫や郷土の移民史を学ぶ若者グループ「語り部ジュニア」の関係者たちが、滋賀県内から参集したカナダ移民の子孫や県の移民史を発掘するグループとの交流を果たした。日本からカナ…
『破られた約束』― 日系カナダ人史に関する日本巡回展示が産んだ旧移民村同士の交流 ― その1
2024年3月12日 • 和泉 真澄
2023年11月1日から2024年2月25日まで、滋賀県の東近江市にある滋賀県平和祈念館で、日系カナダ人の太平洋戦争中の強制移動と財産没収に関する展示『破られた約束-太平洋戦争下の日系カナダ人』が開催された。バンクーバーのカナダ日系博物館で制作され、カナダ各地を巡回したこの展示が日本でも開催されたことは、カナダの日系人研究と日本の移民研究を結びつけただけでなく、日本国内でも移民に関わるさまざまな地域間の新たなつながりを生み出している。 日本の移民史にとって記念すべき一日 …
太鼓の歴史 - その2
2010年3月22日 • 和泉 真澄
>>その1日本同様、アメリカでも太鼓は儀礼的な文脈から切り離されることによって、その機能が劇的に変化しました。1969年の夏、ロサンゼルスの洗心寺において、盆踊り終了後、太鼓を片付けていた開教師マサオ・小谷師と、寺の檀家の一人ジョージ・アベ氏がふと太鼓を打ち始めました。数時間後、豆が潰れて手から血を流しながら、二人は「これは面白いぞ!」と思いました。祖先の文化の継承と日米文化の混ざり合った独自の文化表現を同時に目指していた他の日系三世たちも、すぐにこの二人に加わりました。こ…
太鼓の歴史 - その1
2010年3月15日 • 和泉 真澄
人類文明のなかで、打楽器はおそらくもっとも古い楽器だといえるでしょう。事実、打楽器は書き言葉よりも昔からあると考えられています。たとえば、ナイジェリアのヨルバ地方では何千年もの間、ドラムが言語の代わりに使われてきました。ドゥンドゥン、またはトーキングドラムと呼ばれる太鼓は、2マイル先まで音が届きます。さまざまな近代テクノロジーが発明されるずっと以前から、ヨルバ族の人々は、トーキングドラムを使いリレー式にメッセージを伝えることにより、テレコミュニケーションを実現していたのです…