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アメリカの日本語媒体

第9回 2000年開設『びびなび』全米33カ所、世界展開のオンラインメディア

参加型の媒体 

これまで本シリーズでは、全米各地で発行されている新聞や雑誌など紙媒体の編集責任者に取材してきた。しかし、インターネット社会の今、紙媒体以外に、オンラインのみで運営している「日本語媒体」にも焦点を当てるべきだろう。この原稿を書いている『Discover Nikkei』自体もまたオンライン媒体だ。オンライン媒体は、世界中どこからでも見られること、修正が必要な時にすぐに対応できること、さらには情報を見ている側もコメント欄に書き込むことで双方的なやりとりが可能なことがメリットとして挙げられる。その特性を生かし、2000年5月にローンチしたロサンゼルス版を皮切りに、現在全米33エリアに「あなたの街のオンライン交流広場」というキャッチフレーズでそれぞれの地域版を展開しているのが『びびなび』だ。日本語オンライン媒体としては突出した存在だと言える。

私自身もこれまでに『びびなび』を、幾度となく利用してきた。「仕事探し」に人材募集の広告を出したこともあれば、ヤードセールの告知を「情報掲示板」に出稿したこともある。また自身で書き込むことはないが、時々「交流広場」を覗いて、在米日本人は今どんなことに関心を寄せているのかを知るためにチャットを閲覧したり、「不動産情報」で賃貸価格の相場を確認したりすることもある。

半年ほど前も、私が広報を担当している日系企業の人材募集を『びびなび』のテキサス版に出稿した。オンラインフォームに必要な情報を入力し、ロゴを添付して出稿完了。ところが、すぐに「ロゴの解像度が低いので修正を加えた」との返信が届き、その細かいカスタマーサポートに感心したものだ。

今回取材に対応してくれたのは須藤陽子さん、『びびなび』のディレクターだ。私が「ロサンゼルス版のディレクターですか」と聞くと、「どこからでも仕事ができるので、私は全米33エリアを含む全世界113エリアを担当しています」との返答。確かに、『びびなび』がユーザーと呼ぶ、各エリアの利用者が『びびなび』に対して出稿する形を取っているので、運営側がどこにいるかは関係ない。

生活に密着した情報を

須藤さんに『びびなび』開設の経緯について聞くと、代表の田村好邦さんの次のような言葉を紹介してくれた。「『びびなび』は2000年にカリフォルニアのパサデナで始動した日本人向け地域別コミュニティーサイトです。私自身がアメリカに暮らしていて不便に思ったのが、大手企業の新製品情報は簡単に入手できるのに、『子猫をあげます』や『空き部屋あります』などの情報は、スーパーマーケットなどにある掲示板の張り紙でしか入手できないということです。これら生活に密着した情報をもっと簡単にインターネット経由で提供できれば、との思いから始まりました」。

さらに、須藤さんは「海外にいる日本人の方々が告知したい情報を身近な地域に発信し、必要な情報を届けます。『びびなび』は地域のコミュニケーションを円滑にすることを目指しています」と続けた。

『びびなび』上には旅行代理店、各種クリニック、レストランなどのビジネスが有料で出稿している広告と併せて、個人が発信する情報が満載されている。「親切に教えてくれる税理士さんを探している」、「多忙のため、夕食を作ってくれる人を募集」、「引越しの手伝いをしてくれる人を求む」など、そのリクエストは多種多様。「『びびなび』では個人の情報交換に力を入れています。その点で賛否が分かれるのが匿名性です。本人確認を行うサイトが増えている一方で、本名を書いて質問するとなると発信自体をためらう人も多く存在します。匿名での発信となる『びびなび』では、悪質な情報を監視するために、システムでの管理と同時に人の目でもチェックしています」。

世界中の日本人社会へ

このように、コンテンツ自体が多くのユーザーからの情報で構成されているだけでなく、展開エリアに関しても、ユーザー側の意向を反映してきたのだと須藤さんは次のように語る。「ロサンゼルスで『びびなび』を始め、その後は日本人が多く住むエリアを中心に、西海岸から徐々に全米各地にエリアを拡大してきました。ユーザーからも世界各地で新たに『びびなび』をオープンしてほしいエリアのご要望をたくさん頂きます。フロリダ州ジャクソンビルなどは、ユーザーのご要望をもとに実現したエリアの一つです」。

こうして日本人が多く住むロサンゼルス、サンフランシスコ、ハワイ、ニューヨークから、それほど多くはないジャクソンビルまでの全米各地を網羅し、さらには日本の47都道府県、アジア、ヨーロッパ、中南米、オーストラリアやニュージーランドと、『びびなび』は世界の日本人社会で情報交流を媒介するサイトとして成長を遂げた。それら全てのサイトの月の閲覧者の合計は160万人にも及ぶと言う。

個人的な印象だが、数年前に一気に『びびなび』の使い勝手が向上したように感じている。須藤さんによると、ユーザーがより参加しやすいように常に社内で話し合いを行い、検討を重ね、必要な改良を実現してきたそうだ。

代表の田村さんの「生活に密着した情報を気軽にインターネット上で交換できる場を提供したい」という開設時の狙いは形となり、世界各地に広がった。それは、在米邦人を含む日本語での情報交換を望むユーザーたちがその「場」を歓迎し、活用してきたからこそなのだ。

 

*『びびなび・ロサンゼルス』サイト

 

© 2021 Keiko Fukuda

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Sobre esta serie

アメリカ各地で発行されている有料紙、無料紙、新聞、雑誌などの日本語媒体の歴史、特徴、読者層、課題、今後のビジョンについて現場を担う編集者に聞くシリーズ。