Miyuki Kokubu

福岡県出身。東京在住。高校生の時に映画に興味を持ち、大学時代から脚本や文章を書き始める。『エマニエル・トッドで読み解く世界史の深層』を読み、人種によって世界史がどのように変化していったのか、人種により抱える問題の違いなどに興味を持ち、第9回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテストへ応募し、佳作作品に選ばれる。現在は「青春」を題材にした作品を構想中。

(2022年6月 更新)

community ja

9th Annual Imagine Little Tokyo Short Story Contest

回春

―10年前― これは、ぼくだけのひみつ。いや、ぼくときみだけのひみつなんだ。 すぷりんぐすとりーとには、かべがある。みぎとひだりでわかれて、みんなくらしている。ぼくはみぎがわ。にほんじんと『にっけい』ってよばれているひとたちがすんでいるんだ。ひだりは、ぼくたちとはちがうひとたちがすんでいる。いったことはない。おとうさんやおかあさん、まちのひとからきいたはなしだ。ただ、とてもこわくてきたないところだから、いってはだめだといわれた。 ぼくはこのかべがすきだ。だって、おもしろいえやもじが、たくさんかいている。まだ5さいだから、ひらがながすこしよめて、20までかぞえることができるけど、かべはかんじやしらないきごうばかりだから、よめない。いつかよんでみたいな。 ゆきがふりそうにさむいひ、いつものようにかべをみていたら、ちいさなあながあった。ゆびが、4ほんはいりそうなくらいのあなだ。ぼくはのぞいてみた。そしたら、おんなのこがみえた。ぼくはおもわず、「ねえ」といってしまった。そのあとで、すごくこわくなった。だって、おとうさんたちのこえをおもいだしたから。ぼくがふるえていると、 「はろー」 はじめてきくことばが、かえってきた。 「えっ?」 「はろー、コンニチハ」 「こ、こんにちは」 おんなのこは、にこりとわらった。そのとき、ぱちんとはじけるおとがした。 「あっ」 おん...

lea más

Series en las que contribuye este autor