ディスカバー・ニッケイ

https://www.discovernikkei.org/ja/journal/2024/1/1/oshogatsu/

ブラジルのお正月

忘年会の招待状が届くと、「もうお正月なんだ!」と思います。ブラジルの日系人の忘年会は持ち寄りパーティーです。ボランティアが、カラオケ機械の設備を準備し、ビンゴゲームなどのゲーム参加者への賞品を集めます。年末年始を楽しく過ごすために、皆で、協力し合います。 

ミナス・ジェライス州ウベルランディア市の忘年会、2023年(著者所有)

ブラジルのお正月と言えば、こんな慣習があります。平和のシンボルの白い衣服を着ること。レンズ豆を一皿食べること。ザクロの種七粒をお札に巻いて財布に入れ、持ち歩くこと。海辺で波を七回超えること、など。これら全てが幸運を引き寄せて悪運を追い払うと信じられています。

私たち日系ブラジル人は、お正月の前に、まずは家の大掃除し、たくさんのご馳走を作ります。父は、元旦に掃除や買い物をするかで、残りの一年が決まると思っています。元旦にお金を使うと、一年中お金を使うことになると言うのですが、私は信じていません。しかし、世代から世代へと受け継がれてきた慣習なので、私もやっていますが、倹約にもなるので、良いかとも思います(笑)

家中にお餅を飾るのは、新しい年に我が家に幸運が訪れるようにとの願いです。お雑煮を食べることも、一家の繁栄を願うためだと、両親は教えてくれました。我が家のお雑煮は「Hondashi」という粉末調味料と醤油で味付けをしたすまし汁の中に、お餅と刻んだネギを浮かせるシンプルなものです。

母はお汁粉も作ります。クリスマスからお正月にかけて、いつも家族旅行をするので、お餅を家で作ったことはなく、店で買います。

ブラジルの多くの企業は、この期間はお休みなので、皆、家族や友人と旅行に出かけます。人口の大部分はクリスチャンなので、ミサに出席して主イエス・キリストの誕生を祝います。

小野原家のクリスマスとお正月(著者所有)

親戚や友人へ品物かお金を封筒に入れて差し上げることもあります。前年に起きた良い出来事に感謝し、新しい年の目標や希望を書いておくことも、慣習になっています。

父は大晦日にNHKの紅白歌合戦を見るのが好きです。

花火を打ち上げる人もいます。パラナ州クリティバの伯父は隣人たちといろいろな種類の花火を買い、大晦日に打ち上げていました。皆、大いに楽しんでいました。素人が作った花火だったので、私はそれを見た時怖かったのを覚えています。花火の音がとても大きかったのです。伯父と近所の人たちが一年がかりで作った花火で、当時、大きな音がする打ち上げ花火はまだ禁止されていませんでした。

花火のショーはとても綺麗で、見事でした。おじさんたちがうかれて新年を迎える姿をを見るのも愉快でした。残念ながら、その数年後、近隣の住民の請願書により、伯父の打ち上げ花火は禁止されてしまいました。あまりにも大きな音がするだけでなく、運が悪いことに、近所の家の上に落ちて、火事になるところだったからでした。

ブラジル人も日系人も、国籍に関係なく、皆、親戚や友人と共にご馳走に囲まれ、来る年への夢と希望を抱き、にぎやかに祝いながら、毎年、新年を迎えます。お正月は新たな始まり、新たな挑戦へのモチベーションでもあります。

皆さん、明けましておめでとうございます!

 

© 2024 Meiry Mayumi Onohara

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執筆者について

 ブラジル、ウベルランディア連邦大学にて言語学と会計学を専攻。同大学で会計学修士課程の学生。父方の2世、母方の3世。父親は佐賀県出身、母親の家族は神戸出身。国語教師、現在は家業を営む。

(2022年5月 更新)

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