第5回 「人生で今が一番幸せ」
屋良家は1970年ごろに出聖して縫製業を始めた。家族総出で朝7時から夜12時まで働いた。屋良さんは「うちは姉妹が多くて縫物なら女、子供でもできた。寝る間も惜しんで働きました」と言う。
今は一人暮らし。週に一度、近郊のグアルーリョス市から息子が訪れる。屋良さんは「ブラジルに来たばかりのときは日本に戻りたいと思っていました。でも『住めば都』という言葉の通り、今はここが私の場所のように感じます」と話す。
「米軍に土地を奪われてブラジルに来たことをどう思いますか」と尋ねた。
数秒の沈黙の後、屋良さんは「昔のことは昔のこととして割り切らなくては」と静かに答えた。一方で「私たちが土地を取られたことを沖縄の人たちには忘れて欲しく…