ようやく待ち遠しい夏休みがやってきた。幼い少女は、早く起きたり、たくさんの宿題をやる必要がないので、とても嬉しかった。でもあり余った時間をどのように使ったらいいのか悩んでいた。なぜなら、近所の子とはあまり遊んではいけないと言われ、面白いテレビ番組は何もやってなかったからだ。古い家具や宝飾品がある応接間で遊ぶと怒られてしまうし、キッチンやトイレは危ないのでダメだと厳しく言われていた。部屋に一人でいることも許されず、その上、他の人が眠っているのでうるさくしてはならないと念を押されていた。
幼い少女は、パティオ(中庭)にあるテーブルの上にあった本に絵を描こうと、テーブルに乗り本に手を伸ばした。馴染みのない外国語で書かれているその本は、文字と白黒のイラストでみたされていた。その様子を見ていたお爺さんが「転んだら首が折れちゃうよ!」と叫んだ。お爺さんは物音を立てずに近づいてきたので、そばにいることに少女は気づいていなかった。少女はいたずらしようとしたことを隠すかのように丸顔の小さな目に微笑みを浮かべ、退屈だったのでその本に色塗りをしようとしたことをお爺さんに告げた。お爺さんは、その本は自分の生まれ育った土地から持ってきた大事なものなので、絵を描いたりしてはいけない。これは読むための童話なんだよと言った。
細長い目をしたお爺さんは、微笑みながら、紙を折って、いろいろな形のもの作って少…