ディスカバー・ニッケイ

https://www.discovernikkei.org/ja/journal/2023/5/16/mayumi-saco/

イマジン・リトル東京ショートストーリーコンテスト受賞作品の朗読を担当する声優・佐古真弓さん

佐古真弓さん

リトルトーキョーをテーマに創作した日本語と英語のショートストーリーを対象にした「イマジン・リトル東京ショートストーリーコンテスト」は、今年度で10回を迎える。日本語の最優秀作品は毎回、アメリカで活躍する日本人俳優が朗読するのだが、今年は日本の女優、佐古真弓さんがその役を担う。

佐古さんは、スカーレット・ヨハンソンやエマ・ストーンら、ハリウッド女優の吹き替えで知られる第一線の声優でもある。佐古さんに今回の朗読を引き受けた経緯や、リトルトーキョーへの思いなどを聞いた。

「今回のショートストーリーの朗読を受けることになったのは、ロサンゼルスで活動されている俳優の尾崎英二郎さんにオファーを頂いたからです。私は尾崎さんが出演されていたTVドラマ『私立探偵マグナム(Magnum, P.I.)』に日本語吹き替え版で、バーディタ・ウィークスさんが演じる、主人公マグナムの相棒、ジュリエット・ヒギンズの声を担当しているのですが、私が吹き替え版に出演していることをきっかけに、尾崎さんとTwitterで知り合いました。(尾崎さんからオファーを受けた時は)、その大役に『私で良いのか?』と当初は戸惑いもありましたが、とても光栄なことですので、引き受けさせていただきました」。

5月20日に対面式とバーチャルの両方で開催されるショートストーリーコンテスト授賞式では、日本を拠点とする佐古さんによる事前収録した最優秀作品の朗読が披露される。

「リトルトーキョー」で思い浮かべるのは?

佐古さんは実際に過去、リトルトーキョーを訪ねたことはあるのだろうか?また、「リトルトーキョー」と聞くと何を思い浮かべるだろうか?

「まず、俳優の早川雪洲さんが、リトルトーキョーの日本人劇団で活躍されていた、という話を思い浮かべました。実はロサンゼルスにはまだ行ったことがありません。一度訪ねてみたい土地の一つであり、今回のオファーで、リトルトーキョーにも大変興味を持ちました。ロサンゼルスに行く機会があればぜひリトルトーキョーにも足を運びたいと思います。(イマジン・リトル東京ショートストーリーコンテストの)作品の中に出てきた場所にも行ってみたいです」。

今回の朗読で、リトルトーキョーを想像しながら演じる佐古さんだが、普段から海外の映像作品に声優として出演する際、よりリアルに吹き替えるためにどのような努力をしているのかを聞いた。

「作品の登場人物の中に、実在する人物やモデルとなった人物が登場した際は、その人物の背景となる事柄や歴史を調べます。実際に役を演じている俳優さんについても、可能な限り調べます。しかし、私自身で知ることができるのは、ニュース映像やネットの情報から得られる、ほんの一部の事柄に過ぎません。その一部で全てを理解するのはとても難しいことです。

それでも、文化の違いや歴史、今起きている問題について、『知ろうとすること』は、吹き替えを製作する上でも、その作品に携わる人々との関係性を構築する上でも、とても大切なことだと考えています。私たち声優だけでなく、演出家、翻訳家、スタジオのスタッフ全員が、作品への敬意を忘れずに日本語吹き替え版を作っていることをぜひ知っていただきたいです」。

在米日本人は冒険家であり開拓者

さらに、「アメリカの日系人」について、佐古さんは知っているだろうか?また、日本で生まれてアメリカで活躍しているエンターテインメント業界の新一世への思いについても語ってもらった。

「エンターテインメント業界に限らず、スポーツ界、実業界、科学や医療など多方面で活躍される日系人のニュースを見ると、同じ日本をルーツに持つ者として、とても誇らしくうれしく思います。今回のオファーをきっかけに、アメリカの日系人の活動に、より一層興味を持ちました。今後の皆さんの活躍が楽しみでワクワクします。

また、日本からアメリカに渡り、エンターテンメントの最先端のアメリカで活躍されるなんて、本当に素晴らしいとしか言いようがない、すごいことです。私も何か新しいことに挑戦してみようかという刺激をいただきます」。

では、佐古さんがロサンゼルスを訪れたらどこに行き、何をしたいかを聞いてみた。

「ハリウッド、ビバリーヒルズ、グリフィス天文台など行きたい所はたくさんあります。私は着物が好きで、同じく着物好きの声優仲間と着物で出かけることがあるのですが、着物を着てロサンゼルスの街やリトルトーキョーで写真を撮影してみるのも面白いですね」。

最後に、佐古さんからアメリカに住む日系人や日本人にメッセージをいただいた。

「日本で声優として活動している、佐古真弓と申します。日本を出てアメリカで暮らす日本人の皆さんは、まさに冒険家であり開拓者です。言葉も文化も生活様式も違う国で暮らす、何かを成し遂げるには大変な苦労と努力が必要かと思います。皆さんの勇気ある行動を心から尊敬します。また、リトルトーキョーでは近年、日本のアニメやゲームが人気だと聞きました。作品を通して私の声が皆さんの耳に届いているかもしれないと思うと、本当にうれしいです。

今まで日系人の歴史を知る機会が少なかったので、世界中で暮らす日系人と日本人が交流する場がもっと増えたら良いと思いました。そして、日系文化と日本文化、どちらも大切に尊重し合い、より理解を深め、次の世代に引き継いでいけることができればと願っています。改めまして、リトルトーキョーの歴史協会の皆様の日々のご尽力に感謝いたします。アメリカ在住の日系人、日本人の皆さんのことに思いを寄せる機会をいただき、ありがとうございました」。

 

佐古 真弓(Mayumi SACO)

・ ウェブサイト: http://fukuda-and.co/saco
・ Instagram (@_sacomayumi_
・ Twitter (@_sacomayumi_

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佐古真弓さんによる、受賞作品の朗読(録画)は、2023年5月20日(土)午後2時【太平洋夏時間】より開催される第10回 イマジンリトル東京ショートストーリーコンテスト授賞式にてご覧になれます。

2019年以来初めて、対面形式 (オンラインも同時開催) で授賞式を開催します。日系アメリカ人女優のタムリン・トミタさんを司会に迎え、佐古さんによる朗読のほか、女優ミカ・ジョウさんによる英語青年部門の作品朗読(録画)、さらには舞台俳優グレッグ・ワタナベさんによる成人部門の最優秀作品のライブ朗読も行われます。

参加費は無料ですが、事前予約が必要になります。
詳細・イベントのご予約については、全米日系人博物館のサイトをご参照ください >>

 

© 2023 Keiko Fukuda

アメリカ アーティスト ロサンゼルス カリフォルニア エンターテイナー 佐古 真弓 俳優 声優 日本人俳優 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト(シリーズ) リトル東京 リトル東京歴史協会 演技
執筆者について

大分県出身。国際基督教大学を卒業後、東京の情報誌出版社に勤務。1992年単身渡米。日本語のコミュニティー誌の編集長を 11年。2003年フリーランスとなり、人物取材を中心に、日米の雑誌に執筆。共著書に「日本に生まれて」(阪急コミュニケーションズ刊)がある。ウェブサイト: https://angeleno.net 

(2020年7月 更新)

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