>>その2トラウマを忘れてはならないアメリカ国内では、従軍を経験した人々が深刻な心身症に悩まされることが良く知られています。特に、昨今のイラクやアフガニスタンでの軍事行動にかかわったアメリカ人の多くが、戦争からくるトラウマに悩まされていることは周知の事実だと思います。このことは、日系人にとってもまったく同じことだと私は思います。従軍を経験した日系人も、戦争を原因とするトラウマに悩まされているのです。
私は、ある日系二世の退役軍人から、今でも戦友を亡くしたことを原因とするトラウマに悩まされているということを聞いたときは、強いショックを隠せずにはいられませんでした。日系人の従軍の歴史においては、その輝かしい戦績ばかりが議論や学習の対象となりますが、その裏には、戦友の死や戦闘の悲惨さなどからくるショックやトラウマに悩まされる日系人の姿があるのです。
この事実があまり知られていない背景の一つとして、アメリカ社会において日系人を含むアジアおよび大洋州系のアメリカ人が、模範的少数派というレッテルを貼られたために、ネガティブな日系人のイメージが「盲点」になってしまったことです。
再評価へ
日系人の従軍の歴史において、たいへん興味深い出来事がクリントン政権時代にありました。それは、日系人の戦績の再評価でした。それまでの日系人に対する戦績の評価が適切であったかどうかが議論された結果、ダニエ…