「ブラック・ライブズ・マター(Black Lives Matter/黒人の命だって大切だ)」。今、起きているこの運動をどう考えているでしょうか。アメリカに暮らす日本人にもさまざまな人がいて、黒人*や白人や日系以外のアジア系の血が混じった人や、他の人種やエスニックの人と結婚した人もいます。その立場や環境によって、この「ブラック・ライブズ・マター」は自分に関係のあることとして、もしくは自分からは遠いもののようにも感じられていると想像します。
私たち日本人は、今、アメリカで命の危険を覚えるような人種差別にさらされることはまずありません。新型コロナウイルスの流行と共にアジア系への人種差別が増えていることから差別的な言動に出くわすこともありますが、基本的には法と秩序は私たちを守ってくれるもののように感じられます。いつから、どうやって、安全や公平さが私たちにとって当然のものになったのでしょうか。たどってみると、それはアメリカ黒人史と関わるところが大きくありました。
移民当初から現在に至るまで、同じ有色人種である黒人に助けられる一方で、マイノリティーであり差別の対象でもあった日本人や日系人は、時に黒人を差別する側に回ることもありました。しかし、また別の時には互いの中にある人種差別的意識を超えて友情や連帯を育むこともあったのです。文化や習慣が異なる人々が理解し合うのは簡単ではありませんが、私…