第2回 シアトルでの最初の仕事と生活
前回は、與右衛門の出身地である蒲井について、そして水夫に偽ってハワイ経由で1906年にシアトルへ上陸した與右衛門の船出について書いた。今回は、シアトル上陸から3年後に與右衛門が開業した理髪業について詳しく紹介したい。
シアトルの理髪業
與右衛門の長女で現在102歳の叔母によると、蒲井から渡米した多くの人達の最初の仕事はレストランやホテルの皿洗いであり、與右衛門もそんな仕事から始めたという。手持ちの金がなく、英語が全くできず、技術がなくてもできる仕事だ。朝早くから夜遅くまで立ったままで辛抱強く働きさえすれば、何とか最低限の生活をするだけのお金は稼ぐことができた。與右衛門は、その後に少ない資金で養豚業を手掛けることもした…