ディスカバー・ニッケイ

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香川県海外移民の父:今雪真一の情熱と功績


2021年5月24日 - 2021年6月7日

香川県の海外移民の父として知られる今雪真一氏は、香川県立農林学校の教諭で、教え子はじめ多くの県民を戦前から戦後にかけ海外へ送った。南米へ移住した古い世代の香川県民で今雪氏のことを知らない人はいないというほど、香川移民への影響は大きい。1954年には約一年にわたり南米4か国を視察し、移住した899家族から話を聞いて回った。この時の経験から、1961年には自らもブラジルへ移住を決意し、そこで生涯を終えた。このシリーズでは、今雪氏の南米訪問や海外移住に対する考えなどを3回に分けて紹介する。



このシリーズのストーリー

第3部:金子正則知事の南米訪問とその主な見解

2021年6月7日 • アルベルト・松本

元裁判官だった金子知事は、1950年から6期24年間も香川県知事を務めた。県の特産品である「讃岐うどん」を全国に広めた立役者の一人でもある。在任中の1956年、アメリカ国務省による指導者交換事業計画の招聘で、アメリカに3ヶ月間滞在し、その後2ヶ月南米4カ国(ブラジル、パラグアイ、アルゼンチン、ウルグアイ)を訪問し、同県民の移住事情などを視察した。 今雪氏との共著「南アメリカを旅して」の第2部には、知事の詳細な日記と訪問先の観察記録が綴られている。とてもタイトな日程で、今雪…

第2部:「海外移住」の持論

2021年5月31日 • アルベルト・松本

今雪先生は、現場で目にし、聞いた課題を冷静に分析し、「海外移住」の持論と心構えを記しているので、その幾つかを紹介したい。 ブラジルやパラグアイ奥地の教育問題は深刻で、小学生の落第や中退者が多い。しかし、のんびりした半日学級制度や教員の副業容認は、日本の詰め込み暗記授業よりも良い。 戦前の大規模植民地の日本語学校は、日本の学校とぼぼ同じで厳しい教育と規律を維持していたので、日本語力はかなり高かった。卒業生の中には日本で高等教育を受けた者もいる。しかし、学校の閉鎖性と排…

第1部:海外移住への情熱

2021年5月24日 • アルベルト・松本

近代日本の海外移民は、徳川幕府とハワイ王国の取り決めによって明治元年にハワイに到着した153人の日本人からスタートした。明治政府による新たな国づくりはとても大かがりなもので、貿易と産業育成にも力を入れていた。しかし、それ以前に締結した不利な条約が、例えば貿易取引に大きな障害になっていたのでいくら生糸(蚕産業)を輸出しても高い値段で取引することもできず日本の地域経済に思うように還元できなかったのである。1868年、日本の総人口は3400万人だったが、1900年には約4400万…

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このシリーズの執筆者

アルゼンチン日系二世。1990年、国費留学生として来日。横浜国大で法律の修士号取得。97年に渉外法務翻訳を専門にする会社を設立。横浜や東京地裁・家裁の元法廷通訳員、NHKの放送通訳でもある。JICA日系研修員のオリエンテーション講師(日本人の移民史、日本の教育制度を担当)。静岡県立大学でスペイン語講師、獨協大学法学部で「ラ米経済社会と法」の講師。外国人相談員の多文化共生講座等の講師。「所得税」と「在留資格と帰化」に対する本をスペイン語で出版。日本語では「アルゼンチンを知るための54章」(明石書店)、「30日で話せるスペイン語会話」(ナツメ社)等を出版。2017年10月JICA理事長による「国際協力感謝賞」を受賞。2018年は、外務省中南米局のラ米日系社会実相調査の分析報告書作成を担当した。http://www.ideamatsu.com 


(2020年4月 更新)