シアトルに住む日系アメリカ人のファミリー・ヒストリー
このシリーズでは、シアトルに住む日系アメリカ人のファミリー・ヒストリーを探ります。シアトル大学の学生、長谷川美波さんとシャーロン・イデグチさんの二人が、共同でインタビューをし、それぞれがストーリーをまとめました。
ここでは、長谷川さんによる日本語のファミリー・ヒストリーを紹介します。シャーロン・イデグチさんによる英語のファミリー・ヒストリーは別のシリーズでご覧ください。
*このシリーズは、日系移民150周年を記念して「北米報知」に掲載されたものです。
このシリーズのストーリー
日系二世ベテラン、トシ・トクナガさん ~アメリカ軍として戦った私の戦争体験~
2018年12月26日 • 長谷川 美波
「君たちは70年も前のことを聞いているのかい?」 トシさんが第一声で笑いながら答えた。本当にこの人が、70年も前にアメリカ軍兵士としてヨーロッパの激戦地で戦った人なのだろうか。その笑った顔からは想像がつかない。 第二次世界大戦中、アイダホ州のミニドカ収容所で生活し、その後にアメリカ軍に入隊してヨーロッパ戦線へ向かったトシ・トクナガさん(93)。現在は日系移民向けの老人養護施設ニッケイ・マナーで妻のドリーさんと共に静かに暮らしている。部屋の壁には家族の写真や、退役軍人に贈…
シアトルで知る、海をまたいだ戦争体験 ~藤井ファミリー~
2018年6月15日 • 長谷川 美波
広島県広島市出身で、6歳から10歳まで戦争を体験し、その後結婚を機にシアトルへ移住した藤井藹子(ふじい・あいこ)さん。米国書道研究会シアトル支部やシアトル別院仏教会に属し、書道・花道・茶道などを通してシアトルの日本人コミュニティーで活躍してきた彼女に、戦時中から渡米までの日本での生活と、原爆を体験した父・七森勝郎(ななもり・かつろう)氏との思い出を伺った。 戦時中、藹子さんとその家族は、広島市教育委員会視学として広島市役所に勤務する勝郎と離れて、広島県福山市に疎開していた…
初めて知る日系移民ヒストリー ~イデグチ・ファミリー~
2018年5月28日 • 長谷川 美波
2017年9月、私は1年間の交換留学のためにシアトルに来た。東京で生まれ、21年間を家族と共に生活してきた私は、海外での長期生活は楽しみよりも不安のほうが大きかった。大学の授業では、内容を理解することもディスカッションで発言することもできず、毎日落ち込んだ。アメリカ人は皆フレンドリーだと感じたが、気軽に遊びに出かけるような友だちを作るのには時間がかかった。生活するので精一杯だった中でインターナショナル・ディストリクトを訪れた時、こんなにも日本の雰囲気を感じることのできる場所…