ディスカバー・ニッケイ

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日系(ニッケイ)—をめぐって


2022年2月11日 - 2024年3月22日

日系ってなんだろう。日系にかかわる人物、歴史、書物、映画、音楽など「日系」をめぐるさまざまな話題を、「No-No Boy」の翻訳を手がけたノンフィクションライターの川井龍介が自らの日系とのかかわりを中心にとりあげる。

 



このシリーズのストーリー

第31回(後編)「セツコの秘密」訳者、岩田仲弘さんに聞く

2023年6月24日 • 川井 龍介

前編を読む>> 日本語出版への道のり  ——日本語版が出る経緯と、イーコンプレス社から出版された理由はどのようなものですか。あまり、この種の本を手がけたことのない会社のようですが。 岩田: シャーリーさんが原著を出版した時、私がまったく知らないところで、さらに私よりもはるかにシャーリーさん、母で主人公のセツコさんらヒグチ家と深いつながりを持った人たちが邦訳を出版しようと動いていました。 日本語版作成で中心となった城西国際大学学長…

第31回(前編)「セツコの秘密」訳者、岩田仲弘さんに聞く

2023年6月23日 • 川井 龍介

このほど日本語訳が出版された『セツコの秘密 ハートマウンテンと日系アメリカ人強制収容のレガシー』(シャーリー・アン・ヒグチ著、イーコンプレス)は、日系3世の著者が自身の家族の歴史を、戦時中の日系人の収容の問題をたどりながら刻銘に描いた力作である。 訳者は、東京新聞記者で城西国際大客員特定研究員の岩田仲弘さん。オリジナルの『Setsuko’s Secret: Heart Mountain and the Legacy of the Japanese Amer…

第30回 「セツコの秘密」〜強制収容の記憶

2023年6月9日 • 川井 龍介

日米戦争のさなか、アメリカの日系人が、国の安全保障上の理由から隔離された事実の重みを伝える本が、また一冊日本で出版された。隔離という強制収容については、これまでも多くの本が日米で出版されているが、このほど日本語訳が出た『セツコの秘密 ハートマウンテンと日系アメリカ人強制収容のレガシー』(シャーリー・アン・ヒグチ著、岩田仲弘訳、イーコンプレス)は、収容の事実を通して、日系人の歴史と心情をつづった読み応えのある一冊だ。 オリジナルの『Setsuko's Secret: H…

第29回 3ヵ国語で落語を〜日系・女性落語家 らむ音

2023年5月26日 • 川井 龍介

元気はつらつ 英語で落語をきかせるという試みは、数は多くないとはいえ、日本人や外国人によって定着した感があるが、日本語、英語、ポルトガルで落語ができるという噺家、それも女性の噺家は、らむ音(ラムネ)さん(29)だけではないだろうか。 日系ブラジル人・落語家として、最近メディアでもよくとり上げられるようになったらむ音さんは、父親が日系ブラジルの2世で、母親が3世という。 日本名、茂木綾音、ブラジル名はBruna(ブルーナ)というらむ音さんは、師匠のらぶ平の門下に入っ…

第28回 日本国籍というアイデンティティ

2023年5月12日 • 川井 龍介

フィリピン残留日系人は訴える 「日系」の定義とは何か。辞書(大辞林)によれば「日本人の血統をひいていること。またそのひと」という。「日系人」の定義も同様に、日本人の血統(血筋、血のつながり)をひいている人、と考えていいだろう。 これに従えば、日本人もまた日系人ということになるが、一般的にはそうはいわない。ほかの血統をひいていないからだ。一般に日系人というとき、日本人以外の血統もひいている人のことをいう。ただし、南米・北米にいわゆる移民として渡った日本人夫婦の間に生まれた…

第27回 残留日本人と日系人

2023年4月28日 • 川井 龍介

  戦争の痕跡はいまも 昨年1月『残留兵士の群像 彼らの生きた戦後と祖国のまなざし』(林英一著、新曜社)という本が出版された。これまでに『残留日本兵の真実』(作品社)などの著作がある林氏は、インドネシア残留日本兵の社会史研究で高い評価を得ている学者である。 ここでいう残留兵士とは、アジア・太平洋戦争が終ったのちも何らかの理由で、日本に帰らず海外の戦地に一時、あるいは永久に残った日本兵のことをいう。1984年生まれの著者は、戦後残留兵士を扱ったドキュメンタ…

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このシリーズの執筆者

ジャーナリスト、ノンフィクションライター。神奈川県出身。慶応大学法学部卒、毎日新聞記者を経て独立。著書に「大和コロニー フロリダに『日本』を残した男たち」(旬報社)などがある。日系アメリカ文学の金字塔「ノーノー・ボーイ」(同)を翻訳。「大和コロニー」の英語版「Yamato Colony」は、「the 2021 Harry T. and Harriette V. Moore Award for the best book on ethnic groups or social issues from the Florida Historical Society.」を受賞。

(2021年11月 更新)