日本語新聞
受賞歴のある作家、平原尚美が、世代や大陸をまたぐ登場人物、イチゴ、そして家族の暗い秘密を明かす謎を巻き起こすバイオテロスリラーをお届けします。
このシリーズのストーリー
第12章
2008年8月8日 • 平原 直美
第11章 >>カルロス・ヤマシタのお気に入りの日本のスーパーヒーローはキカイダーでした。半分青で半分赤のキカイダーは、狂気の科学者ギル博士から世界を救うために作られた人型ロボットです。カルロスはパラグアイのケーブルテレビで放送された日本の古いキカイダーの実写番組を定期的に見ていました。彼の友人の一人も、家族で日本に夏に旅行に行ったときにキカイダーの漫画やアニメを持ち帰りました。彼らは何時間もおせんべいを食べながら、最高のアクションシーンのあるさまざまな漫画のコマについて話し…
第11章
2008年7月11日 • 平原 直美
第10章 >>宍戸三郎は家を見上げた。空き家ではあったが、まだ建っていた。ビクトリア朝様式のこの家は、ワトソンビルの著名な建築家の一人が設計した。彼と逸子は結婚後、丸い部屋に住んでいた。この結婚は和歌山にいる両親が取り決めたものだった。逸子の両親はアメリカで成功して日本に帰国したが、逸子は美しい家に残りたかった。彼女のお気に入りの部屋は丸い部屋、角のない部屋だった。掃除が大変ではあったが、寝室は終わりのない円環を象徴していた。彼らの結婚生活。彼女が数年後に、移民の桃摘み労働…
第10章
2008年6月13日 • 平原 直美
第9章 >>ホルヘ・ヤマシタはショック状態だった。汗ばんだ手はハンドルから滑り落ちそうだった。助手席には10歳の息子カルロスが座っていた。その後ろには亡き妻の祖父ビサブエロと、ホルヘの上司の息子グレッグ・シシドが座っていた。グレッグは灰色のダクトテープで猿ぐつわをかまされ縛られていた。グレッグの腹部にはビサブエロが握っていた銃が押し当てられていた。 「おじいちゃん、あれをトラックに積んでなきゃダメなの?」とホルヘはスペイン語で言い、不安そうにバックミラーをチェックした。彼は…
第7章
2008年3月14日 • 平原 直美
第6章 >>ドアが開き、一筋の日の出の光が、オックスナードのホテルの部屋の隅で銃を構えていた少年の目を一時的に見えなくした。少年、カルロス・ヤマシタは目を細めて、ドアのところにいた痩せた男の影を狙った。カルロスが撃とうとしたとき、男は前方に転がり、擦り切れた絨毯の上に倒れ込んだ。男は倒れたままで、数秒後、カルロスはビサブエロの車椅子のきしむ音を聞くことができた。 「おい、それを下ろせ」とビサブエロはささやき、車椅子でホテルの部屋に入り、ドアを閉めた。彼の膝の上には長い竹の棒…
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