第3回 再び満州の地へ

祖父の足跡を訪ねて
母と祖母の満州からの引き揚げから40年以上が経過した、今から34年前の1988年、私はかねてから温めていた計画を実行に移した。それは、母と祖母、そして私の三代で旧満州の地を訪ねるというものだった。私はその頃、東京の出版社に勤務していた。そして、ベルナルド・ベルトルッチ監督の映画、満州の傀儡皇帝、溥儀の一生を描いた『ラストエンペラー』を見て、幼い頃から母に聞いていた満州のイメージを具体的に描けるようになっていた。
祖母のカヨは当時、70歳。祖母と母の念願だった、スイカの駅で別れた後に捕虜として亡くなった祖父の最期の地を訪れるならその時しかないように思えた。ただし、まだ天安門事件前の中国では自由旅行は…