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3年ぶりにブラジルへ戻ったパウロは、日曜日、子供のころから通っていた教会へ一人で向かった。
パウロの家族は教会へ行く習慣がないので、「父さんと母さんはイビラプエラ公園へジョギングに行き、妹たちはまだ寝てるにちがいない」と思っていた。
アーチ型のドアとステンドグラスの窓の教会を久しぶりに見て、懐かしく思った。中に入って、先に来ていた祖母に挨拶をして、横に座った。
礼拝が始まり、讃美歌の時間になった。よく見ると、オルガンの演奏者は妹のカレンだった!しかも、父親と母親と妹のエリカが20人ほどのコーラスに参加していた。
驚いて横を見ると、おばあさんはパウロを見て微笑み、再び讃美歌の美しい音色に聞きいった。
礼拝後、教会のメンバーと食事を共にしているとき、父親は言った。
「パウロが無事日本で3年間を過ごせたこと、家族が健康で元気で居られること、全ては神様のお陰だ。心から感謝している。今は家族で神様に仕えることが、最大の喜びとなっているんだよ」と。
「なるほど。カレンが言っていた『ビッグニュース』とは、このことだったのか。神様、ありがとうございます」と、パウロは感謝した。
神学校を中退して日本へデカセギに行ったパウロだが、また神学の勉強を始めることにした。教会の奉仕活動にも積極的に参加した。学校や日系人会から、日本での体験談を話してほしいと頼まれた。日本で働…