翔麗

(しょうれい)

幼い頃から手紙など、文を書くことが好きで、今でも時々友人へ手紙を書いています。アメリカ留学の経験があり、その時、リーディングクラスで出された課題が、メキシコの「コヨーテ」について、短い物語を書くという物でした。創作を楽しんでいたのは、クラスで私だけだったと思いますが、私の物語を読んでくれた先生の笑顔は忘れられません。これからも楽しみながら、誰かの心を動かせる物語を書き綴っていけたらと思っています。

(2021年5月 更新)

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第8回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト

リトル東京 ~再生の街~

22世紀、リトルトーキョー。 舞い散る粉雪を見上げ、俺はコートの襟を立て、両手に息を吹きかけた。 一世紀前ならこの街で、こんな雪が降ることはなかったと、いつだったかトキオが俺に教えてくれた。トキオとは交番勤務のAIだ。この街がAIとの共存を決めてから、トキオはずっとこの街の治安を守る為、些細な犯罪にも目を光らせてきたらしい。人間の年齢にしたら、喜寿をとっくに迎えているはずだが、トキオの外見は二十代後半の俺と変わらなかった。 AIに人間の職業を奪われるなどと、騒がれた時代もあったが、今ではAIに対し寛容な街は珍しくなくなった。逆に言えば、AIと共存できない国家は、衰退の一途をたどり、いつの間にか消滅してしまった。それだけ人間の能力がAIに劣るのかと訊かれたら、俺の人間としてのプライドが認めないだろうけど…… 人間には人間の良さがあると、俺は今でも信じている。地球環境を破壊し、人類始まって以来、互いに殺戮と言う過ちを繰り返して来たとしてもだ。 リトルトーキョー……古き良き日本を求めて、日本本土からだけではなく、世界各地から人々がここを訪れる。と言っても、地球に残された陸土は、百年前の十分の一で、ほとんどが海底に沈んでしまっていた。特に面積の狭い日本は、領土の半分以上を失った。 俺がこのリトルトーキョーを目指したのは、…

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