兎追いしかの山 小鮒釣りしかの川夢は今もめぐりて 忘れがたき故郷
如何にいます父母 恙なしや友がき雨に風につけても 思い出づる故郷
志をはたして いつの日にか帰らん山は青き故郷 水は清き故郷
― 唱歌『ふるさと』
任期最後の年、3度目のトメアスー敬老会。トメアスー文化農業振興協会とアマゾニア日伯援護協会が中心となって行われ、多くの家族が一同に会して、地元のおもに日系一世である高齢者の健康と長寿を願う。ベレン領事事務所所長や振興協会会長などが挨拶をされ、日本語学校の生徒たちの歌、女性グループによるコーラスや日本舞踊など、いろいろな出し物が披露される。そして、トメアスー婦人会の手作り弁当も振る舞われる。
3度目にして初めて会を終了するまで見届けることができた。最後に参加者全員で記念写真を撮り、そのあと毎年恒例の「ふるさと」を合唱。全員で手をつないで円になって歌う。事前の打ち合わせなどはないのに、音楽が流れ始めると、全員が自然に輪になって隣の人の手を取る。私たちボランティアもいつの間にかその中にいた。幼いころから何度も歌い、慣れ親しんできた歌である。歌詞を見なくても言葉は出てくる。しかし、このときほど詞の意味を強く感じたことがあっただろうか。遠くを見つめて歌うみなさんの視線の先にあるもの。一つひとつの言葉がそこから紡ぎ出されるかのように感じられ、琴線に触れた。
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