森マサフミ
(もり・まさふみ)
1965年名古屋生まれ。大阪大学卒(文学士)。2002年に渡米し、現在はロサンゼルス在住。2009年より映画、ドキュメンタリー、ドラマの字幕翻訳を始める。2012年にノンフィクション作品、『ハリウッドを笑い飛ばせ』(小学館集英社プロダクション)を発表。現在はさまざまなエンタテイメント・コンテンツの日本向けローカライゼーションの品質管理専門家として活動している。『巻きすの神様』は、初のフィクション作品。
(2017年9月 更新)
この執筆者によるストーリー
第4回 イマジン・リトル東京ショートストーリー・コンテスト
巻きすの神様
2017年9月13日 • 森マサフミ
今夜、引退する私は、えも言われぬ罪の意識にさいなまれている。 ここリトル東京で寿司を握って55年… いや、正確には巻いて55年と言うべきかもしれない。1963年、私があの“トリプルTロール”を考案して以来、世界は劇的に変わってしまった。 当時まだ寿司は、日系人と一部の食通だけのものだった。一般のアメリカ人は生魚に抵抗を示しており、海苔は黒い紙のようだと気味悪がって、わざわざはがして食べる客もいたほどだ。本格的な江戸前寿司を売りにして…