松村 滋樹 マクシミリアノ
(まつむら・しげき・まくしみりあの)
1942年7月16日鹿児島県枕崎市生まれ。父の転勤で鹿児島県内の各地で過ごす。鹿児島大学農学部専攻科を終了後ブラジル移住を決め、1966年7月末親兄弟の反対を押し切って渡伯。サンパウロ州 リオグランデ・ドスール州で働く。鹿児島県人会や地元文化協会の会員。ブラジル国籍取得。
(2021年9月 更新)
この執筆者によるストーリー
コロニア語
2021年10月18日 • 松村 滋樹 マクシミリアノ
1966年9月11日の夜、私達を乗せた「さくら丸」はサントス港に碇を降ろした。翌日の朝からざわざわと下船が始まる。荷物下ろしも入国手続きもまったくのろく、私を迎えに来た老いた「パトロン」(雇用主)夫婦は早朝から待っていたそうだが、税関吏が荷物検査を終えて、サントスから奥地に向かったのは薄暗い夕暮れ時だった。 三人が乗った小型のワーゲン車「フスカ」(愛称:カブトムシ)は軽快な空冷エンジンの音を響かせながら、海岸山脈の峠を登った。大分経って、「フスカ」は大都会のサンパウロ市内…
ブラジル二世第1号の人
2021年9月8日 • 松村 滋樹 マクシミリアノ
珍しく早起きしてソファで血圧を計っていると電話が鳴った。早朝に電話がなるのはお葬式の知らせと決まっているので、恐る恐る受話器を取る。 「オレオレ、まだ寝てた?」 アチバイアに住むさくら丸同船者の三木路生(みちお)さんだった。 「聞いて驚くな!」 人をビックリさせるあの独特の抑揚。同船者で病気の人って誰だっけ?それとも元気な人が事故か何かで?早く教えて! 向こうもじれったいのか「聞いて驚くなかれ!昨日、珍しい人に会ったよ」と切り出した。 アー、誰も死ななくて良…