ディスカバー・ニッケイ

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川井 龍介

(かわい・りゅうすけ)

@ryusukekawai

ジャーナリスト、ノンフィクションライター。神奈川県出身。慶応大学法学部卒、毎日新聞記者を経て独立。著書に「大和コロニー フロリダに『日本』を残した男たち」(旬報社)などがある。日系アメリカ文学の金字塔「ノーノー・ボーイ」(同)を翻訳。「大和コロニー」の英語版「Yamato Colony」は、「the 2021 Harry T. and Harriette V. Moore Award for the best book on ethnic groups or social issues from the Florida Historical Society.」を受賞。

(2021年11月 更新)


この執筆者によるストーリー

日系(ニッケイ)—をめぐって
第30回 「セツコの秘密」〜強制収容の記憶

2023年6月9日 • 川井 龍介

日米戦争のさなか、アメリカの日系人が、国の安全保障上の理由から隔離された事実の重みを伝える本が、また一冊日本で出版された。隔離という強制収容については、これまでも多くの本が日米で出版されているが、このほど日本語訳が出た『セツコの秘密 ハートマウンテンと日系アメリカ人強制収容のレガシー』(シャーリー・アン・ヒグチ著、岩田仲弘訳、イーコンプレス)は、収容の事実を通して、日系人の歴史と心情をつづった読み応えのある一冊だ。 オリジナルの『Setsuko's Secret: H…

日系(ニッケイ)—をめぐって
第29回 3ヵ国語で落語を〜日系・女性落語家 らむ音

2023年5月26日 • 川井 龍介

元気はつらつ 英語で落語をきかせるという試みは、数は多くないとはいえ、日本人や外国人によって定着した感があるが、日本語、英語、ポルトガルで落語ができるという噺家、それも女性の噺家は、らむ音(ラムネ)さん(29)だけではないだろうか。 日系ブラジル人・落語家として、最近メディアでもよくとり上げられるようになったらむ音さんは、父親が日系ブラジルの2世で、母親が3世という。 日本名、茂木綾音、ブラジル名はBruna(ブルーナ)というらむ音さんは、師匠のらぶ平の門下に入っ…

日系(ニッケイ)—をめぐって
第28回 日本国籍というアイデンティティ

2023年5月12日 • 川井 龍介

フィリピン残留日系人は訴える 「日系」の定義とは何か。辞書(大辞林)によれば「日本人の血統をひいていること。またそのひと」という。「日系人」の定義も同様に、日本人の血統(血筋、血のつながり)をひいている人、と考えていいだろう。 これに従えば、日本人もまた日系人ということになるが、一般的にはそうはいわない。ほかの血統をひいていないからだ。一般に日系人というとき、日本人以外の血統もひいている人のことをいう。ただし、南米・北米にいわゆる移民として渡った日本人夫婦の間に生まれた…

日系(ニッケイ)—をめぐって
第27回 残留日本人と日系人

2023年4月28日 • 川井 龍介

  戦争の痕跡はいまも 昨年1月『残留兵士の群像 彼らの生きた戦後と祖国のまなざし』(林英一著、新曜社)という本が出版された。これまでに『残留日本兵の真実』(作品社)などの著作がある林氏は、インドネシア残留日本兵の社会史研究で高い評価を得ている学者である。 ここでいう残留兵士とは、アジア・太平洋戦争が終ったのちも何らかの理由で、日本に帰らず海外の戦地に一時、あるいは永久に残った日本兵のことをいう。1984年生まれの著者は、戦後残留兵士を扱ったドキュメンタ…

日系(ニッケイ)—をめぐって
第26回 『花嫁のアメリカ』著者、江成常夫氏にきく

2023年4月14日 • 川井 龍介

戦後日本の隠れた歴史として 戦後の日本が忘れてきたものをとらえてきた写真家・江成常夫氏は、アメリカ人兵士と結婚してアメリカにわたった女性たちのありのままの姿をポートレートとインタビューでまとめた『花嫁のアメリカ』を1981年に出版、それまでメディアが見落としてきた時代と人々を世に知らせ話題を呼んだ。 戦争という日本の負の遺産を何らかの形で背負った人々の戦後に向かい合ってきた江成氏は、この後、戦後中国に残された日本人孤児についても、“アメリカの花嫁&rdq…

日系(ニッケイ)—をめぐって
第25回 カメラを手にアメリカで生きるフォトジャーナリスト、諏訪徹の回想

2023年3月10日 • 川井 龍介

堀江謙一や小田実に感化され 海洋冒険家の堀江謙一さん(84)が、このほど米クルージング・クラブ・オブ・アメリカ(CCA)から海洋冒険の功績を讃えられ、最高栄誉賞である「ブルーウォーターメダル」を受賞した。堀江さんは、昨年ヨットの単独無寄港での太平洋横断に世界最高齢で成功したほかこれまで多くの海洋冒険に挑戦してきた。 なにより堀江さんが世の中の注目を集めたのは、1962年に兵庫県の西宮港からサンフランシスコまでひとりで航海するという偉業を達成したからだった。その航海を著し…

日系(ニッケイ)—をめぐって
第24回 日系カナダのパイオニアたち ・『カナダの萬蔵物語』から

2023年2月24日 • 川井 龍介

このコラムで前回紹介した、日本人カナダ移民の第1号である永野萬蔵氏の生涯についてまとめているのが、1977年に出版された『カナダの萬蔵物語 The First Immigrantt To Canada』(尾鈴山書房)である。 この年は、萬蔵がカナダに渡ってからちょうど100周年となり、この本には“萬蔵の物語”のほかに、「パイオニアの人達の素顔 日系カナダ人百年記念」と題して、その名の通り、日本からカナダにわたって活躍した日本人(日系人)が98ペ…

日系(ニッケイ)—をめぐって
第23回 カナダ移民の先駆け、永野萬蔵 — 長崎県・口之津でその足跡を知る

2023年2月10日 • 川井 龍介

一昨年の夏から、私は断続的に日本の海岸線に沿って車で旅をしている。北海道、東北からはじめ、昨年は北陸、山陰、そして九州をぐるりと一周してきた。 島国の日本では、かつて外国へは海路を頼っていくしかなかった。反対に外国から日本へ来るにも同じことであり、その意味で日本の海岸線には、港はもちろんのこと海外との交流の痕跡がいくつも残っている。 昨年11月から12月にかけて九州の海岸線を車で走ったときのことだ。福岡県から反時計回りに進み、5日目に長崎県の島原半島を南下した。中央には…

日系(ニッケイ)—をめぐって
第22回 戦争、そして海を渡った日本女性 ー 『花嫁のアメリカ[完全版]』を読む

2023年1月27日 • 川井 龍介

戦争花嫁の戦後 1945年の敗戦後、占領軍として多くのアメリカの軍人、軍属が日本に駐留した。若い彼らと日本人女性とが恋愛関係に陥るのは、当然の成り行きだった。彼らと結婚しアメリカに渡った女性たちは「War Bride」、日本語にすると「戦争花嫁」と呼ばれた。 戦時中は「鬼畜米英」と唾棄していた国の男性と結婚するこうした日本人女性に対する世間の視線や、親の反応が一般的にどんなものだったかは、容易に想像がつく。それでも彼女たちは結婚し、海を渡り、その他多くの日本人女性が戦後…

日系(ニッケイ)—をめぐって
第21回 『移民がつくった街サンパウロ東洋街』著者、根川幸男氏にきく

2023年1月13日 • 川井 龍介

世界最大の日系人社会を構成するブラジル・サンパウロの日系人街をテーマにした『移民がつくった街サンパウロ東洋街 地球の反対側の日本近代』(東京大学出版会、2020年刊行)の著者で、国際日本文化研究センター特定研究員の根川幸男氏に、移民研究や本書が生まれる背景をきいた。 冒険譚としての「移民」の魅力 ——移民の問題に興味をもったきっかけはなんだったのでしょうか。また、そのなかでブラジルの日系社会の歴史を研究された理由はなんでしょうか。 根川: 19…

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