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百年続く南カリフォルニアの仏教会とその開教使の横顔

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ガーデナ仏教会の開教使、庵原ジョン一徳師(写真提供:Cultural News)

120年の歴史を持つ南カリフォルニアの日系コミュニティーの中で、浄土真宗西本願寺派の仏教会は、特に20世紀の初めの約60年間は、宗教としての役割以上に日本人移民のための文化センターやコミュニティー・センターの役割を果たしてきた。

西本願寺派の米国組織、米国仏教団は、戦前から、信者が集まる場所を寺ではなく、仏教会と呼んでいた。最近は「お寺」と呼ぶひとも増えている。各地の仏教会に属する僧侶を開教使と呼ぶ。日本では浄土真宗をはじめ大半の仏教宗派では、住職の世襲制が一般的であるが、米国仏教団の場合、仏教会メンバーが寺の所有者で、各地の仏教会が開教使を仏教団へ依頼をし、招聘するという形式になっている。仏教会の運営は、キリスト教の教会運営を雛形にしている。

100年以上の布教の歴史を持つ米国仏教団では、1980年代までは開教使のほとんどが日本で生れ育ち、渡米した日本人だったが、それ以降は、日系人を含むアメリカ人が開教使になるケースが増えている。現在、米国仏教団は開教使を養成するコースを持っていて、最近は、日本に修行に行かず、米国内で僧侶になる人が増えている。

2017年3月、創立から90年以上が経つロサンゼルス市近郊のガーデナ仏教会(2017年2月27日の掲載記事参照)では、日本生まれの主任開教使、宮地信雄(みやじ・のぶお)師が引退し、ロサンゼルス生まれの日系三世・庵原ジョン一徳(いおはら・かずのり、当時55歳)師が、主任開教使に就任した。

庵原師は、広島生まれの一世の母とロサンゼルス生まれの二世の父に間に生まれた。子供のときから、両親に連れられてリトル東京にある西本願寺派ロサンゼルス別院に通っていた。その頃から、将来、僧侶になることを考えていたという。

僧侶になるために役に立つであろうと、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で心理学を専攻した。UCLAは、東京にある国際基督教大学と交換留学プログラムを実施していたので、庵原師は1983年にこの留学プログラムを使って、1年間東京に滞在し、その時、東京・築地本願寺で得度をするための準備をした。

UCLAを卒業した庵原師は、カナダ・トロントにある私立大学で心理学・修士号を取得した。1986年に、開教使を養成するための西本願寺派の北米開教区奨学金を得て、京都・龍谷大学に留学した。最初の1年は日本語の集中講義を受け、そして2年間の修士課程を済ませた。その後、文部科学省の国費留学生に認められて、龍谷大学の大学院で博士課程を4年間過ごした。親鸞研究の権威である浅野教信教授の指導のもと、修士課程と博士課程のテーマは共に「親鸞聖人における信の研究」で、とくに博士課程では、親鸞聖人が晩年に書いた「西方指南抄」(さいほう・しなん・しょう)に取り組んだ。

庵原師の米国仏教団開教使としての仕事は、1994年にフレスノ別院に派遣されることで始まった。その後、サンディエゴに近いビスタ仏教会、シアトル別院、ロサンゼルス地区のベニス本願寺に派遣され、2014年からガーデナ仏教会の開教使を務めている。

ガーデナ仏教会は、メンバーが約500人(200世帯)の大きな仏教会で、開教使は常時2人派遣されている。2017年3月、宮地師が引退し、庵原師が主任開教使に就任したとき、2人目の開教使としてシアトル別院から関谷沙羅(せきや・さら、女性)師が転任した。関谷氏は、東京・世田谷の出身で、高校生時代をサンフランシスコ・ベイエリアとニューヨーク・マンハッタンで過ごし、ボストン大学を卒業している。12年間、東京で仕事をした後、2012年に京都の中央仏教学院に入り、2015年9月に開教使としてシアトル別院に派遣された。

ガーデナ仏教会の本堂には、金色に輝く内陣がある。衣に袈裟をかけた普通の僧侶姿の庵原師は、耳にシンガーたちが舞台で使うマイクのヘッド・セットを付け、荘厳な内陣の前を自由に歩き回りながら説教をする。そして庵原師は、浄土真宗の重要経典である連如上人の「御文章」(ごぶんしょう)を読み上げる。その声の抑揚は、連如上人が語ったであろう15世紀の日本語を連想させる威厳を聞く者に感じさせる。

 

© 2018 Shigeharu Higashi

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執筆者について

1954年、広島県呉市に生まれる。1981年に渡米、ロサンゼルスの加州毎日新聞とサンフランシスコの日米時事新聞で、日本語記者として働く。そのご、朝日新聞ロサンゼルス支局の助手、共同通信社のロサンゼルス米国法人で日本語ニュース配信マネージャーを経験。1998年7月に月刊英字新聞Cultural Newsを創刊した。Cultural News はロサンゼルス近郊の日本美術展、日本文化イベントを紹介している。最近は、デトロイトでの日本美術展やポートランドの日本庭園の紹介も行っている。月刊新聞 Cultural Newsのウェブサイトはwww.culturalnews.com

(2018年3月 更新)

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