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第1回 日米修好100年を記念しまとめた1431ページ

コメント

日本からアメリカ本土への最初の移民からすでに150年ほどが経つ。いま、初期の移民1世は鬼籍に入り、2世の謦咳に触れることも少なくなった。危惧するのは世代を経るにしたがって、言葉の壁もあってパイオニアである1世の記録が遠くなり忘れ去られていくことである。

『米國日系人百年史』 新日米新聞社 (著)

日本とアメリカを生き、結果として橋渡しをした1世の人生は、日系人と日系社会の原点であり、大いなる冒険者としての記録でもある。その意味で、いまここで1世たちの足跡を振り返ってみる。その方法はいろいろあるだろうが、私は一冊の大著「米國日系人百年史」を読み直し、そこに紹介された一世たちの姿をこの連載のなかで紹介していきたい。

その前に、本書の成り立ちと内容について記そう。

1860年、江戸幕府が遣米使節団を送りホワイトハウスで日米修好通商条約の批准書が交換された。それから100年後の1960年、日米修好100年を記念し日米双方で政府をはじめ民間レベルでもさまざまな行事が行われその歴史が検証された。

14年の短命のなかで「新日米新聞社」が発刊

『米國日系人百年史』1ページより。

そのなかで、ロサンゼルスに本社を置く「新日米新聞社」が記念事業として出版したのが「米國日系人百年史」である。同社は、1947年籾井一剣が創刊、最初は週刊でのちに日刊となったが経営は苦しく、53年に元全米日系市民協会会長、城戸三郎が経営をひきついだものの67年には廃刊となった。

この14年という短命の間に本書は企画され出版されたことになる。総ページ数1431という広辞苑のような厚さでほぼB5版というボリュームもさることながら、おさめられた膨大な情報は他に追随を許さない。アメリカの日系人に関する研究書や評論などはいまも出版されているが、そのなかで本書の名は参考図書としてしばしばあげられている。

本書の構成は、第一篇「米国日系人百年史 総論」と、第二篇「各州日系人発展史 地方篇」の二つに大きく分かれる。総論は、「1米大陸移民史」「2米国日系人の農業」「3米国日系人の商業」「4米国日系人水産業の盛衰」「5米国日系人と労働」「6米国日系人の教育」「7米国日系人と文化」「8米国日系人の刊行物」「9米国日系人の宗教」「10米国日系人のスポーツ界」「11排日と日系人苦闘史」「12日系市民の成長と発展」「13日米戦争下の在米日系人」「14半世紀の宿望・帰化権獲得」「15日米国交と在米日系人」という15章からなる。

ほぼ全州の日本人移民を紹介

あらゆる角度から日系人の100年を検証し、戦中から戦後へかけて日系人の味わった苦難と発展の歴史をそのあとに加えている。399ページにのぼる第一篇も力作だが、本書のだいご味は第二篇にある。各州別に日系人の足跡を追って紹介している。このうちカリフォルニア州だけが、北部、南部、中部とわけられ約半分を占め、残り半分をその他にあてている。

日系人の多いところでは、州単位で多くの紙幅を割いているが、少ないところは「南部沿岸諸州‐ルイジアナ州、ミシシッピー州、アラバマ州」などと一つにまとめている。このうち登場しないのはテネシー、ケンタッキーの2州だけだ。それ以外の州については現地で活躍する日本人移民について取材をもとに紹介している。

これだけでも驚くのだが、これら現地取材をほぼたった一人で、アメリカ全土に車を駆って敢行したいうのだから、果たしてほんとうなのかと思いたくなるほどである。次回は、当時取材・執筆にあたったジャーナリスト加藤新一について触れたい。

(敬称略)

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© 2014 Ryusuke Kawai

米國日系人百年史(書籍) 世代 移民 移住 (immigration) 一世 日本 日系アメリカ人 移住 (migration) 加藤新一
このシリーズについて

1960年代はじめ、全米を取材して日系社会のルーツである初期の日本人移民の足跡をまとめた大著「米國日系人百年史」(新日米新聞社)が発刊された。いまふたたび本書を読み直し、一世たちがどこから、何のためにアメリカに来て、何をしたのかを振り返る。全31回。

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執筆者について

ジャーナリスト、ノンフィクションライター。神奈川県出身。慶応大学法学部卒、毎日新聞記者を経て独立。著書に「大和コロニー フロリダに『日本』を残した男たち」(旬報社)などがある。日系アメリカ文学の金字塔「ノーノー・ボーイ」(同)を翻訳。「大和コロニー」の英語版「Yamato Colony」は、「the 2021 Harry T. and Harriette V. Moore Award for the best book on ethnic groups or social issues from the Florida Historical Society.」を受賞。

(2021年11月 更新)

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