(英語) 僕らが仏教寺や他のところで演奏するようになった初期の頃、公演の後に「本当に素晴らしかったですよ!」と、言いに来る人たちがいました。活気づいた人たちでしたね。たくさんの人たちが演奏からエネルギーをもらっていたのが伝わってきたし、僕らも演奏することによってエネルギーをもらっていたんですね。そこでは何か根源的なことが起こっていたんです。
そしてそのことをよく考え始めたのが、1976年頃でしたかね。僕が2人の女性と同居していた頃なんですけど、女性のうち1人は妊娠していて、子供を産んだんですね。その時僕はたまたま日本に行っていて、アメリカに戻ったときには子供は産まれていました。彼女は、ムラカミ医師による「子宮の音 (Sounds from the Womb) 」というLPレコードを誰かにもらったかどこかで見つけて持っていたんですね。このレコードの片面には子宮の音だけが録音されていて、バズーン、ドン、グー、クィーなんていう音が聞こえるんですよ。ドシンという強い音やドクドクと流れる音、グーングーンという音とか、9ヶ月の間胎児が体験するさまざまな素晴らしい音でした。そして、そのレコードにも書いてあったことですけど、生まれると突然静かな環境に囲まれる訳ですね。病室であったりとか、周りの人たちは赤ちゃんの近くでは物音を立てませんよね。そして、例えば尿瓶なんかが床に転げ落ちれば、そのキーンという音で、赤ちゃんは大声で泣き出すでしょう?新生児のように形成された胎児の状態だった頃、人は音の海にさらされていたんですよね。もしかしたら、僕らが太鼓の音を聞くと、その頃の感覚に戻るのかもしれません。
大きな太鼓が打ち鳴らされている間に赤ちゃんは眠りに落ちた、という話が日本にあるんですけど、それはどういうことなんでしょう?面白い関係性がありますよね。それは、子供の頃の音の環境と関係しているんですね。僕らは、マサトはジェーンのお腹の中にいた頃から太鼓を聞いていたなんて冗談を言うんです。でも、実際そうなんですよね。僕らはみんな、太鼓というか、太鼓のような音を胎内で聞いていたんですよね。胎内で生み出されるエネルギーや活力というのは、太鼓の音と繋がっているんです。それが、ムーン・マン・セオリーと呼ばれるものです。
日付: 2004年12月10日
場所: 米国、カリフォルニア州
Interviewer: アート・ハンセン、ソージン・キム
Contributed by: 全米日系人博物館、ワタセ・メディア・アーツ・センター