インタビュー
戦時中身を隠していた父 (スペイン語)
(スペイン語) ある日、父が友人を訪ねると言うので一緒について行きました。この友人は農場を持っていました。農場のオーナーは別の日本人のようでしたが。父の友人は世の中のことにとれも敏感で、すごく頭のいい人でした。たくさんの書物を持っていましたね。日本人移住地で起きたことや起ころうとすることなども把握していたようです。自分は子供ながら、庭で暴れ回り、玩具の車か木材のトラックのようなもので遊んでいました。その時、父と友人はラム酒とお茶を飲んでいたのですが、会話を小耳に挟み、驚いたんです。
友人は、父に言ったんです。「なあ、ツケオ、いやツケオではなく、シンキ。良く聞いてくれ。ここから出て行け、すぐに店を売って出て行け。2店舗とも。あの雑貨店もな(タンボという小商店)。君は『タンボ』と『飲食店』を持っているけど、それは金があるということだろ。ブラックリストに入っていなくとも、誰かが垂れ込めば、それで終わりだぞ。すぐに逮捕され、強制収容所に連れてかれるぞ」。 父は、「そんなことあるか!」、「まぁ、しょうがないか」と。
この友人はとにかく教養の高い人だったので、父はとても尊敬していたんです。父は彼の助言に従って、すべて売り払い、自分の従業員に払い下げました。先に店を、そしてすぐにレストランをたたみました。そして父は姿を隠したんです。我々は小さな家に、両親と私とで住んでいましたが、父は取引先の農牧業者の農場に身を潜めたんです。1940年より前のことですが、父はその農場のどこで寝泊まりしていたようです。ちゃんとした寝室もなく、多分ソファーかどこかで寝ていたのでしょう。あまりその家族に迷惑がかからないようにって。そういうふうに、いろいろな所を転々としていたようです。そうこうするうちに肺炎になり、また我々が居た町の家に戻ってきたのです。
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