第10回 第二章、同じ境遇の友との再会
二年間の服役を終えて、イチローはシアトルのわが家に戻る。しかし、その帰郷はまったく心休まるものなどではなく、戦争に行かなかった者への冷たい視線を感じた。一方、日本が負けてはいないと信じる母親への憎悪は募り、その母と日本に背けなかった自分とは何かと問い苦しむ。
狂気だと、母への憎悪が爆発
二章では、一章につづき母に対する怒りと苛立ちが描かれる。戦死した日系人のボブとその母を、日本人ではなくなっため罰をうけたのだと非難する母に対して、イチローはあえて問う。そして母が答える。
「もしおれが軍に入ってボブみたいに撃たれたらどうなるんだ?」
「そのときは、私も死ぬだろうね」
「おれみたいに死ぬのかい?」
「そう、お…