日系(ニッケイ)—をめぐって

日系ってなんだろう。日系にかかわる人物、歴史、書物、映画、音楽など「日系」をめぐるさまざまな話題を、「No-No Boy」の翻訳を手がけたノンフィクションライターの川井龍介が自らの日系とのかかわりを中心にとりあげる。

 

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第10回 舞鶴と桜と日系アメリカ兵士

昨年のいつだったか書店のノンフィクションのコーナーで「舞鶴に散る桜」(細川呉港著、飛鳥新社、2020年出版)という本に目をひかれた。サブタイトルに「進駐軍と日系アメリカ情報兵の秘密」とあったからだ。

舞鶴(京都府)といえば、日本海に面した港町で、戦後中国大陸やシベリアなどから日本海をわたって日本に引き揚げてきた日本兵や民間人たちの故国日本への玄関口となった地として知られる。しかし、それが進駐軍や日系アメリカ兵とどう関係があるのだろうか。そして、舞鶴の桜とは何を指すのか。興味を書きたてられて読むと、これまで知らなかった事実に行きあたった。

巻末の著者プロフィールによれば、細川氏は、1944年広島県呉市の出身で、...

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第9回 続・ウラジオストク、日系の足跡

日本に一番近いヨーロッパ

ロシアの極東の港湾都市、ウラジオストクに明治から昭和の初期にかけて形成された日本人の居留地のことについて前回(第8回)で触れたが、こうした歴史的な事実とは別に、近年ウラジオストクは、観光地としても日本から注目されていた。

改めて調べてみると、ウラジオストクの魅力を紹介するウェブ上のサイトもいくつか見つかった。そのなかでYouTube「ウラジオストクチャンネル」は、ウラジオストクの魅力を整理して伝えている。「ウラジオストクを旅する43の理由」(2019年、朝日新聞出版)などの著書がある中村正人氏が解説する。

成田空港から2時間半で行けることやシベリア鉄道の起点であることから、「日本に一番...

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第8回 ウラジオストク、日系の足跡

今年2月にはじまったロシアのウクライナ侵攻によって、日本とロシアの関係が悪化したことで、日ロの歴史にまつわる地や人々は複雑な思いをしているのではないか。このほど、北陸の海岸線を取材旅行した際にふと思った。

旅は新潟市からはじまり富山、石川、福井と海岸線を車で走った。途中能登半島も一周し突端の禄剛崎へも足を運んだ。すると「ウラジオストック772キロ」という標識がある。ずいぶんとロシアも近い。

このあと再び西へとすすみ、福井県に入ると間もなく観光名所東尋坊に達する。ここから国道305号で越前海岸を延々と南に下ると敦賀市に入る。日本原子力発電の敦賀発電所1、2号機など原子力施設で知られる敦賀市だが、実はここは戦前はヨー...

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第7回 横浜の海外移住資料館、リニューアル

移住、ニッケイを知る手掛かりに 

移住や移民についての資料を展示しているユニークな存在として知られる「JICA横浜・海外移住資料館」が、このほどリニューアルオープンした。

明治時代から北米、南米に移住した移民の歴史をはじめ、移住先での仕事や生活の実態を紹介した展示の基本はこれまでと同じだが、映像や動画などを利用することでよりわかりやすくなり、また世代を重ねてきた「日系(ニッケイ)」社会のひろがりを考えさせる展示になっている。

横浜港は、明治維新による開国後、海外に開かれた最大の拠点としてそこから多くの日本人が北米、南米などへと向かった移民にゆかりの深い港だ。いまも国際客船のターミナルになっている大さん橋があり、...

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第6回 ルーツを探して -テキサス・福山編-

日本からアメリカへの移民というと、戦前は西海岸の諸州などでおもに労働者として雇われるというのが一般的だった。しかし、広く全米をみると、まれにだが日本人による入植事業という自営による移民という形もあった。

20世紀のはじめにフロリダ州南部につくられた大和コロニーはそのひとつだが、州単位でみると同じ南部のテキサス州での入植事業がもっとも盛んだった。

日露戦争の前、在ニューヨーク総領事の内田定槌は、テキサス州の米作の将来性を官報などで世に知らしめ、日本人の入植を奨励した。このことは日本の移民関係の雑誌でもとりあげられ、事業意欲のある日本人の資本家や知識人らが、相次いで広大なテキサスに足を踏み入れた。1930年から数年の...

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