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銀行残高、わずか1ドル。借金「歯を食いしばって返済」
「2009年、店はつぶれた状態だった」。今でこそ、何気ない口調で語ることができる。だが、ここへたどり着くまでの日々を2人が忘れることはない。
「店を継ぐまでは従業員だったので(店の財務状況を)知らなかった。蓋を開けてみたら大変なことになっていた」と衣枝さんはいう。会社の銀行口座には残高1ドル。取引先などを含む多方面から経済的に援助してもらう窮状だった。「店を継いでいた甥だけがこのことを知っていて、義姉を含む周りは誰も…」
負債のある業者には払っていかなければならない。店は開け、従業員5人も雇い続けた。破産申請してしまえば返済は不要だ。しかし「そんなわけにはいかない」(衣枝さん)。「もしかしたら(店を)潰さなければいけなかったのかもしれない。だけど日本人の気質として無理。頭を上げて外を歩けない。(取引先から)分割でもいいからと言ってもらい、歯を食いしばって返済した」
そんな時、義姉の知り合いを通じ会計士の栗田清さんを紹介してもらった。「栗田さんに話をしたら『建て直しを手伝ってあげようか』と」。経営の仕方から帳簿のつけ方、コンピューターの使い方までいろいろと教わった。ラップトップでもいいから買うように勧められ、すぐに購入した。「それまでコンピューターは使っていなかったので、スイッチの入れ…