第4回「北部加州の日系人」を読む >>「米國日系人百年史」(1961年)を編集した新日米新聞社がロサンゼルスを拠点としたということもあるだろうが、ロサンゼルスを中心とする本書の第二章「南部加州 (SO.CALIFORNIA)」は、全1431ページのうち440ページにもわたっている。
なぜこれだけの分量になるかというと、そのほとんどが紳士録的なページで、南カリフォルニアで事業に成功した現地での著名人をはじめさまざまざな分野で活躍してきた日本人、日系人についての紹介にあてられているからだ。
そのなかには、本書を出版した新日米新聞社の社長であり弁護士の城戸三郎も含まれている。また、短命に終わった新日米新聞社についても、設立に至る経緯や事業内容などについて2ページにわたって紹介されている。
同社の社屋は、ロサンゼルスの「345 E.2nd St. 」にあり、写真で見ると3階建てで、1960年春に同社内で撮影された社員18人がそろった写真(以下)も掲載されている。日本語メディアがまだ勢いのあったころの様子がうかがえる。
また、広告記事のなかにはこのころ日本に進出してまもない「アメリカン・ホンダ・モーター会社」(社長、本田宗一郎)や、「ハリウッドトヨタ自動車株式会社」、「アメリカ松竹」などが登場する。
最初の日本人は1870(明治3)年
「第一節 南加州の日本...