第三章 荒野の強制収容所:1942年から1946年にかけて — 前編(3)
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学校のない九月———秋
アメリカの学校の1年は6月に終わり、約3ヶ月にも及ぶ長い夏休みをはさんで、9月から新しいスタートを切ります。9月、夏の間に大きくなった背丈に見合う新しい洋服とノートや鉛筆を用意してもらい、久しぶりに友だちと再会するのは楽しみです。しかし、1942年の9月は、強制収容所に移ったばかりの日系の子どもたちにとっては勝手が違いました。シアトルで通っていたガーフィールド高校のウィルス先生にあてたマサオの手紙から。
親愛なるウィルス先生、
今、僕は何もすることがなく、ミニドカ転住所の中にいます。仕事をしようと思ったのですが、面接係官に高校を…