かつて〃紅茶の都〃として栄えた聖州レジストロだが、紅茶産業は輸出に依存していたため、20年ほど前からのレアル高で国際競争力を失い、衰退の一途をたどった。5歳から携わるこの紅茶産業を守ろうと、島田梅エリザベッチさん(本名梅子、88、二世)が立ち上がった。荒れ行く茶畑に心を痛めて一念発起し、自宅の一角に「天谷」に次ぐ第二の製茶工場を設立し、なんと昨年11月に新銘柄「おばあ茶ん」を立ち上げた。「何とかして茶畑を活かしたい」という母の熱意に打たれた子供たちと共に、新たな挑戦が始まった。
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大西洋岸林に囲まれたシチオ島田の一角には、見渡す限りの茶畑が広がる。50年前に息子たちと植えた15万株。梅さんは毎朝6時、籠を背負って犬のボブと畑に出かけ、丁寧に選別しながら茶葉を摘む。
「皆、お茶が駄目になるとププーニャやバナナを植えてしまうが、私は茶畑から離れることができない。レジストロのお茶をなくすのは悲しい」。そう紅茶への愛情を吐露する梅さんは、「茶産業が駄目になったのは、売れると質より量になったからだと思う」と語る。だから、品質を誇る商品を出せば、希望があると考える。
機械で摘むと硬い葉や新芽、虫まで混ざってしまうため、手間はかかるが手摘みにこだわり、農薬もほとんど使わない。それを丸ごともんでじっくり乾燥させたのが「おばあ茶ん」。試行錯誤を重ね、昨年11月に完成を…