2004年にアートギャラリー&ショップとして新しいスタートを切ったKOBO at Higo(以下KOBO)は、シアトル日本町の顔ともなりつつある。同店を経営するビンコ・ビスビーさんに、開店時のエピソードや自身の生い立ちなどを聞いた。
アメリカで「日本のモノづくり」を紹介
日本やパシフィック・ノースウエストのアートやクラフトなど幅広い商品をそろえるKOBOは、観光客や常連客で賑わう人気店だ。夫のジョンさんと二人で同店を経営するビンコさんは、台湾人の父と日系アメリカ人の母を持つアジア系アメリカ人。ビンコさんは日本で生まれ、6歳まで東京で過ごした後に、家族の故郷であるシアトルに移り住んだ。ジョンさんと出会ったのは、ニューヨークでの大学院時代のことだ。ジョンさんの仕事でビンコさんは再び東京へ。もともと日本のモノづくりの素晴らしさに魅了されていた二人は、東京滞在の5年間で日本各地を回り、伝統工芸の現場を訪れた。日本の職人らが伝統的な手法を守りながら、デザインや機能性の優れた品々を作り上げていく様を目にし、それらをアメリカに紹介することができないか模索し始めたところで、たどり着いたのが、セレクトショップの立ち上げだった。
日本で出合った小さな工房の作品を丁寧にわかりやすく紹介していくのがKOBOのコンセプト。「ビジネスというより、始めは実験的なプロジェクトとしてスタートしました。このコ…