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https://www.discovernikkei.org/en/journal/2013/7/17/joey-and-itsuki/

第3回 「北米沖縄県人会百周年で琉球魂に開眼」(ジョーイ・カミヤさん)・「全世代、沖縄に関心がある人すべてに向けて」(グラムコウ・與古田樹さん)

第2回世界若者ウチナーンチュ大会は、2013年7月18日から21日までの4日間、ロサンゼルス郊外のトーランス・カルチュラル・アーツセンターを会場に開催される。テーマは「アイデンティティーの継承」と「グローバルネットワークの拡大・強化」だ。

大会当日、会場で撮影機材を抱えて忙しく働いている姿が想像できるのが、ジョーイ・カミヤさんだ。ロサンゼルス生まれ、サンタモニカのアートカレッジ卒の25歳のジョーイさんは、フリーランスで映像エディター・シューターとして働いている。彼がウチナーンチュとして開眼したのは、沖縄県人会創設100周年の準備のために映画制作を依頼されたことだという。それまでは父親側の沖縄よりも、母親側の本土側のアイデンティティーの方が強かったと振り返る。

北米沖縄県人会イベントでのジョーイさん(左)。イベント撮影は常に彼の担当だ。

「ウチナーンチュと言うよりも、一般的で包括的な日系人というイメージを自分に持っていました。しかし、映画のために多くの沖縄系の人に話を聞いた結果、俄然、ウチナーンチュ寄りの意識が育まれました。さらに三線も始めたことで、それまではJロックだったのに、琉球音楽にも関心が生まれました。今では、沖縄で開催される三線のコンクールへの出場も視野に入れて練習に励んでいます」

穏やかな琉球民謡の旋律に合わせて周囲の人が歌い始めると、ジョーイさんはえも言われぬ幸福感に包まれるそうだ。将来的にはまだ訪れたことのない沖縄を舞台に、彼が好きなホラー映画を制作するのが夢だと語る。

絶対に失望はさせない

樹さんは大学を休学中。現在は働きながら若者ウチナーンチュ連合会の活動に携わっている。

このシリーズの初回に登場した山内優子さんの言葉、「一概にアメリカと言っても広い。それぞれの土地のウチナーンチュのユニークさを伝えていければ」を象徴するのが、世界若者ウチナーンチュ大会のアメリカ側の事務局を務める連合会アメリカの会長のグラムコウ・與古田樹(よこだいつき)さんが、開催地のロサンゼルスから遠く離れたテキサス在住だということだ。

他のメンバーとは、定期的にスカイプを利用した会議を開いて情報交換や話し合いを行い、準備に取り組んでいる。ロサンゼルス在住の筆者自身も樹さんには、電話とメールで話を聞いた。

樹さんは沖縄県中部の生まれ。10歳で母親、弟と共に、アメリカのテキサスに移住した。ウチナーンチュとしての意識開花のきっかけは、伝統芸能である琉球国祭り太鼓をヒューストンで始めたことだったという。さらに、2010年には太鼓の代表に選出され、沖縄県からの招待を受けた。そして、その1年後には沖縄県から次世代代表にも選ばれた。それが契機となり、世界若者ウチナーンチュ連合会沖縄本部の代表、玉元三奈美さんから連絡を受け、ブラジルのサンパウロで開催された世界若者ウチナーンチュ大会第1回大会にもアメリカから出かけて参加した。

さらに今年のアメリカでの大会に向けて、自らリーダーとして立ち上がり、21歳ながら他のメンバーを牽引する役割を担っている。

最も困難な挑戦は何かと問うと、「ウチナーンチュの若者世代を呼び込むことだ」と回答した。「アメリカでは特に、沖縄にルーツを持つ若者の多くがアメリカ人として育つため、沖縄文化に格別の思い入れがないのが実状です。沖縄文化に誇りを持つ少数派がコミュニティーを跨いで準備活動に取り組んでいますが、しかし、アメリカはあまりに広い。共同作業に限界を感じることもあります。それでも、ウチナーンチュ若者世代に向けての呼びかけを続け、私たちの素晴らしい文化とコミュニティーに参加してもらうことが究極のゴールです」

これまで話を聞いた優子さん、浩さん、ジョーイさん、そして樹さんを見る限り。「若者に沖縄文化への格別の思い入れがない」と言う言葉にはあまり真実味が感じられないようにも思うが、分母があまりにも大きいこと、その人口の多さに比べれば、彼らのように積極的に関与している人数はほんの一部に過ぎないということが、やはり現実でもあるのだろう。何より、樹さんが持つ目標はより高く設定されている。

「今回の大会は若いウチナーンチュだけのものではありません。すべての世代の人々、そして沖縄に関心を持つ人々に向けたものでもあるのです。琉球魂を心に秘めたすべての人が集う場にしたいと思っています。是非、この夏ロサンゼルスに来てください。絶対に失望はさせないとお約束します」

今年7月、若者たちのどのようなプレゼンテーションが繰り広げられるのか、彼らの準備が花開く大会を楽しみに待ちたい。

* * *

2013年世界若者ウチナーンチュ大会
2013年7月18-21日
Torrance, California, U.S.A.

詳しくはこちら: http://wyuausa.wordpress.com/

© 2013 Keiko Fukuda

Japan Okinawans Okinawa Prefecture Uchinanchu World Youth Uchinanchu Festival
About this series

Why are the bonds between Japanese people with roots in Okinawa so strong, and how do they pass on their culture and identity to the next generation? Through interviews with people involved in the preparations for the World Youth Uchinanchu Festival, we uncover the secrets.

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About the Author

Keiko Fukuda was born in Oita, Japan. After graduating from International Christian University, she worked for a publishing company. Fukuda moved to the United States in 1992 where she became the chief editor of a Japanese community magazine. In 2003, Fukuda started working as a freelance writer. She currently writes articles for both Japanese and U.S. magazines with a focus on interviews. Fukuda is the co-author of Nihon ni umarete (“Born in Japan”) published by Hankyu Communications. Website: https://angeleno.net 

Updated July 2020

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