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https://www.discovernikkei.org/en/journal/2011/5/18/janm-gala-dinner/

全米日系人博物館25周年 日本文化普及の功労者を表彰

19世紀後半に日本から米国に移民してきた日系1世たちやその子孫たちの歴史を語り継いでいる全米日系人博物館(JANM)が、今年で25周年を迎えた*。今月中旬、記念のガラ・ディナーがダウンタウンのW.マリオットホテルLAライブにて開催され、アケミ・ヤノJANM館長ら博物館関係者の他に、伊原純一総領事、ダニエル・イノウエ上院議員夫妻、ジャン・ペリー ロサンゼルス市議会議員、『スタートレック』シリーズのヒカル・スールー役で知られる俳優のジョージ・タケイ氏など、各界から約1300人が出席した。

今回のテーマは「引き継がれる家族の物語:広がり行く日系コミュニティー」。戦後の日系移民たちとその家族のビジネスが次世代へと現在は引き継がれ、新世代が大きな日系の輪を築いている。この日、戦後に日本文化を米国で普及させた功労者たち3人(金井紀年氏、山野・ジェーン・愛子氏と家族、スタン・坂井氏)が、JANMより表彰された。3人の受賞者たちにインタビューした。

金井紀年氏
Life Time Achievement Award受賞

(写真・冨山敏正)

金井紀年氏  共同貿易社長。日本生まれ。金井家は、1960年代に渡米。起業家として米国に寿司文化を起こし、促進に貢献してきた。寿司と日本酒の相性の良さに注目し、居酒屋事業への進出や優秀な日本酒ソムリエの育成に寄与するなど、新たなビジネス分野でも成功を収めている

ー受賞の感想は?

今回の受賞は、思いがけず、全然考えもしなかったことです。私は学生の時に軍隊にとられてビルマに行ったんですけど、そこで負けて、その思いをしてみるとね、やっぱり戦争中に日系人が受けた戦争による被害というものは、非常に大きいものがある。これは、その時に実際に経験した人でなければ、実感はわからないと思う。しかし、そこが起点となって、“日系人のアイデンティティー”というものができてきた。これが、全米日系人博物館になったと思います。そのアイデンティティーの上にたった日系人の社会というものは、日本人と違った1つの団結がある。これからですよね。

ー次世代に受け継ぎたいものは?

日本の文化ですね。これを日本人は主張しないでしょ。日本文化をもっと広く外国に主張して、自分の職業にすることよって、外国との交際、文化の交流、尊敬も得るでしょう。フランスなんか、そうですよ。フランスはドイツに占領されたけど、今、世界はそんな事を言わないでしょう。“フランス料理は世界一だ”って言われてる。

これから戦争というものをなくしていくには、戦争を基盤にしないで文化をね、もっと広げていくというふうに利用する。

ー今後のチャレンジは?

お酒。酒文化。これは米ですね。米から麹を作って、酒にするという手法は世界中にないですよ。日本だけ。

ー好きな言葉は?

『困難に遭遇したら、常に原点に戻る』
現象ばかり見て、事を進めていくとね、本来の道から外れちゃうよ。元に戻って修正する。日本は、“日本本来の生き方”に戻っていくことが必要だということです。

山野・愛子・ジェーン氏と家族
Creative Visionary Award受賞

山野・愛子・ジェーン氏(中央)とジャン・ペリーLA市議会議員(左)ジョージ・タケイ氏(写真・冨山敏正)

山野・愛子・ジェーン氏 山野学苑副理事長、山野美容専門学校校長、国際美容協会副理事長を兼任。ロサンゼルス生まれ。1976年に祖母・山野愛子氏から美道を学ぶため日本へ渡る。祖母は日本初のパーマ指導技術者、日本美容界のパイオニアで、1961年、ロサンゼルスに山野美容カレッジを創設。父親・正義氏は国際美容教会理事長、山野学苑理事長を兼任

ー受賞の感想?

とっても光栄です。1人ではできないことですから、やはり初代・山野愛子先生と家族のおかげで、このように歴史になったというのは嬉しいです。
私の母方はみんなマンザナで、人生の何年かを過ごしました。けれど、それを乗り越え、誇りを持って、前向きの気持ちを持っていました。それを受け継いだという気持ちです。

ー次世代に受け継ぎたいものは?

誇りを持つこと、前向きの気持ち、“トライした事はなんでもできる”という気持ちで続けて、何をやっても頑張れば良いことがあるので、続けてほしいです。

ー今後のチャレンジは?

日本は、今後、大変になると思いますので、これから1人でも多くの方にスマイルになっていただけるように、美を通じて、お手伝い出来ればと思っております。

ー好きな言葉は?

『思えば叶う』
いつも山野家の中で言っています。“前向きな気持ちで”、とても大切です。

スタン・坂井氏
Cultural Ambassador Award受賞

(写真・冨山敏正)

スタン・坂井氏 コミック・ブック・アーチスト。京都生まれハワイ育ち。日系3世。子供の頃、日本の昔話や童話を聞いて育ち、侍映画の大ファン。宮本兎という16世紀後半から17世紀前半の日本に生きる兎の侍の叙事伝「兎用心棒」の創作で人気を博す。アイズナー賞受賞

ー受賞の感想は?

この賞に自分が見合うとは思いませんが、とても光栄です。私は、自分のコミック本を通して、日本の文化や歴史、そして伝統等を振興しようと心掛けてきました。リサーチもできるだけやったし、和太鼓などもやりましたよ。自分が受け継いだものを促進させようとしました。

ー次世代に受け継ぎたいものは?

次の世代の人達には、日本文化への愛を持ってほしいですね。私が描いた「うさぎ」からは日本を文化を感じると多くの人が言います。侍はただ刀を持って戦っている人だけど、私の「うさぎ」からは、実際の伝統とか、侍たちのバックグラウンドなどが見えます。侍は武道だけでなくて、詩や習字などをしたりと他の面がありますね。

ー好きな言葉は?

『食べましょう!』
食べる事が好きです。また、旅をすると、食は文化だと感じます。

* * * * *

会場では、Nitto Tire USA提供による日系人のために尽力したドキュメンタリー『知られざる政治家ラルフ・カーとニッポン人』のDVDが無料配布された。

*編集者注:全米日系人博物館は今年26周年である。


**本稿は2011年4月30日(土)『日刊サン(The Japanese Daily Sun)』からの転載です。

© 2011 The Japanese Daily Sun

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About the Author

Kanemaru was born in 1969 in Yamanashi Prefecture. She moved to the U.S. in 1991. In 2000, she graduated from Pratt Institute Graduate School of Art in Brooklyn, New York with a major in oil painting. As she hosted art exhibitions in New York and in Japan, she worked on book design and graphic design. In 2003, she moved to Los Angeles and worked on lighting design on stage and performed for Great Leap, a non-profit organization based in Los Angeles. She currently works at The Japanese Daily Sun (Nikkan San), a Japanese newspaper publisher in Los Angeles as an editor, writer and graphic designer.

Updated May 2011

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