ディスカバー・ニッケイ

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マルビーナス紛争へ従軍とその影響

当時のアルゼンチンの法律では兵役は義務でありましたし、抽選とはいえ番号に当たった人達は義務的に兵役を行う、兵役を担う、と言った方がいいですね。僕はまぁ、訓練を受けて大学生でもありましたから8ヶ月弱で除隊になるわけですね。しかしながら1982年4月2日にアルゼンチン軍がマルビーナス、フォークランドとイギリスは呼んでますけれども、上陸作戦を行ったことによって、戦争状態になるわけです。

で、除隊した人たちはそういう状態になると、当然ながらですね、自分達が所属している部隊の召集令状とか、または何らかの連絡を待つわけですよ。でも僕はあんまり1、2週間経っても動きがないので自分から所属部隊に出頭して、そして一人のアルゼンチン国民として何かできないかということで基地に行ったわけです。

戦争が74日間、2ヶ月半くらいで終わって。帰った途端僕は、「いや、やっぱり政治国際関係を勉強する」と言って親に伝えて、「お金がかかってもそれは自分でやるから、これを承認してくれ」とお願いして、大学も変えて、専攻も変えて、そしてストレートでちゃんと卒業する事ができたのです。やはり戦争というか大きな出来事は、やはり自分の気持ちとか自分の目標とか自分の生き方っていうものを変えたというのは事実だと思います。


日付: 2019年9月22日

場所: 米国、カリフォルニア州

インタビュアー: 西村 陽子

提供: 全米日系人博物館、ワタセ・メディア・アーツ・センター

語り手のプロフィール

1962年、アルゼンチン、ブエノスアイレス州のエスコバールに生まれる。エスコバール日本語学校へ通いほぼバイリンガル教育を受ける。大学生のときにマルビナス紛争が勃発、従軍して通信兵として任務を全うする。その後、ブエノスアイレスのサルバドル大学国際関係学部を卒業し、1990年国費留学生として来日。横浜国立大学大学院で労働法を専攻し修士号を取得。

現在は、日本でスペイン語の渉外法務翻訳、法廷通訳、放送通訳、さらにはJICA研修員オリエンテーション講師、静岡県立大でスペイン語、獨協大学でラテンアメリカ経済と法を教える傍ら多文化共生関係の講演を行っている。在日ラテンアメリカ出身の日系人などのサポートを行っている。(2020年2月)