(英語)私は自分の両親が触れ合ったり、ハグをしたり、抱きしめ合う姿を見たことがありませんでした。同じベッドで寝ていたのは知っていましたが、ふたりが愛情を表現するのを見たことはありませんでした。父が仕事で2、3ヶ月ほどテンサイ農場に出かけることになると、母は父にお辞儀をし、別れの挨拶をしていました。それは父が帰ってきた時も同じでした。どうやって赤ちゃんが生まれるのか、セックスについて初めて知った時、私は大きなショックを受けました。私はハグやキスをされた経験が一度もなかったからです。でも私のルームメイトは、いつも誰にでも”愛する人”、”ダーリン”、”あなた”、と呼びかけ、両親にハグやキスをし、友人たちにもキスしたりしていました。
私は大学の最初の一年間で、それまでの人生よりたくさんの愛情表現を経験しました。クリスマス休暇に帰省するお金がなかったので、私は夏休みに実家に戻りました。私は夏中働き、「新年度に学校に戻る時にはお別れの挨拶に両親にハグをしよう」と思いました。ものすごく緊張しました。ようやく実行できたのは、絶対にやらなきゃならないと心に決めた時でした。私は列車で学校に戻る予定だったので、駅まで両親が送ってくれました。最後の最後に私は母に歩み寄り、母を抱きしめました。母は氷柱のようでした。ただぼう然としていたのです。父も同じでした。でも私は、今後両親に会う時は毎回ハグをしようと決めました。大学に進学してからは、両親の家に住むことはもちろんなくなりました。年月を重ねるにつれ、だんだん楽にハグができるようになっていきました。そして両親に孫が生まれ、ふたりが孫たちにはとても愛情深いことに気付きました。その姿を見てうれしくなりました。
日付: 2018年11月8日
場所: 米国、カリフォルニア州
Interviewer: ジューン・バーク
Contributed by: 全米日系人博物館、ワタセ・メディア・アーツ・センター